2025年度活動レポート(一般公募プログラム)第27号 (Bコース)
カーボンナノチューブのバイオテクノロジー応用に関する国際共同研究
名城大学からの報告
2025年11月17日から12月7日にかけて、インド工科大学ダンバード校からGiri助教と同氏の指導する博士課程学生2名を名城大学天白キャンパスに招へいし、「カーボンナノチューブのバイオテクノロジー応用に関する国際共同研究」をテーマに共同研究活動コース(Bコース)を実施した。
11月17日の夜、成田空港を経由し、一行が中部国際空港の国内線到着ロビーに姿を現した。翌18日の朝、名城大学天白キャンパスで本学の教員と学生による歓迎セレモニーが開催された。児玉哲司理工学部長と本プログラムの実施主担当者である、丸山隆浩理工学部教授(ナノマテリアル研究センター長)から歓迎の挨拶が、また、Giri先生からは招へいに対するお礼の挨拶がなされた。
セレモニー終了後、早速、滞在中の実験内容の詳細に関する打ち合わせを行い、本プログラムの目的であるバイオテクノロジー応用に向けたカーボンナノチューブ(CNT)の合成手法の開発に向け、実験を開始した。名城大学の学生のサポートを受けながら、触媒作製法や化学気相成長(CVD)法などCNT合成プロセスを一通り学んだのち、招へい者自身がこれらの実験を行い、CNT合成を体験した。実験を行うに当たり、日本人学生の用意した英文マニュアルもおおいに役立った。
また、X線光電子分光法(XPS)による触媒堆積量の見積もりや、ラマン分光法や走査電子顕微鏡(SEM)によるCNTの成長量や結晶性の分析評価も行った。このように自ら実験を行い、得られたスペクトルなどのデータについて説明を受けることで、招へい者はCNTの合成手法と評価方法、その原理への理解を深めた。今回の招へい者はバイオテクノロジー分野を専門とするため、本プログラムで実施した内容は未経験であったが、どの実験に対しても非常に熱心に取り組んでいた。また、得られたデータについて、招へい者と実施主担当者のグループの間で討論を行いながら実験を重ねることで、Giri助教が計画中のバイオテクノロジー応用に最適なCNT合成実現への糸口を見出すことができた。
さらに、先端的な分析を行っている他の研究機関を見てもらうため、あいちシンクロトロン光センター(瀬戸市)と分子科学研究所(岡崎市)を訪問した。愛知県の放射光施設である、あいちシンクロトロン光センターでは、放射光の原理や放射光を利用した様々な実験手法について、國枝秀世所長により説明を受けたのち、実験ホールで各ビームラインの見学を行った。大学共同利用機関である分子科学研究所では、CNTの透過電子顕微鏡(TEM)観察を行う様子を見学した。
最後に滞在中に行った実験に関する成果発表会を行った。また、帰国日の前日には、修了式を開催し、招へい者一人一人に修了証書の授与を行った。
滞在中の平日は毎日朝から夜まで実験の日々が続いたが、日本の産業や文化の理解のため、トヨタ産業技術記念館と熱田神宮への訪問も行った。トヨタ産業技術記念館では、東海地区の近代産業発展の礎となった繊維機械や自動車技術の変遷の歴史を見学した。また、熱田神宮では招へい者とともに鳥居をくぐり参道を歩き、日本固有の信仰である神道が仏教とともに日本人の生活に深く根付いていることを説明しながら参拝した。時節柄、境内には七五三のお祝いに訪れる家族の姿も多く、着物姿の子供たちとその家族を眺めながら、紅や黄に鮮やかに色づいた木々を背景に日本の伝統的な風景を楽しんだ。