2025年度活動レポート(一般公募プログラム)第13号 (Aコース)
光合成の基礎・環境適応・応用をテーマとしたインド若手研究者との研究交流
岡山大学からの報告
インド・ナガランド州のナガランド大学を中心とする若手研究者・大学院生8名を、2025年10月26日から11月1日の日程で招へいし、「光合成の基礎・環境適応・応用」を交流テーマとするAコース「科学技術体験コース」を実施した。本交流を通して、日本とインドの若手研究者・大学院生との学術的交流を深めるとともに、日本の科学・技術・文化・伝統・歴史について理解を深める機会を提供した。
【初日】
一行は午後4時頃に関西空港へ到着した。実施責任者が空港にて出迎え、鉄道により岡山へ移動した。
【2日目】
岡山大学津島キャンパスの異分野基礎科学研究所(異分野基礎研)を訪問した。まず、実施責任者が本プログラムの概要説明および岡山大学の紹介を行った。続いて、理学部生物学科の三村真紀子教授が日本の植物生態に関する基礎講義を行った。その後、本学大学院生とともにキャンパス内の植生を観察しながら、キャンパスツアーを実施した。
【3日目】
再び異分野基礎研を訪問し、沈建仁所長の案内で光合成研究グループの研究室を見学した。光合成生物の培養装置、光合成タンパク質の精製・分析装置、タンパク質構造解析に必要な設備について重点的に紹介した。その後、菅倫寛教授がタンパク質の構造解析に関する講義を行った。さらに、クライオ電子顕微鏡および隣接するイノベーションセンターに設置されたトモグラフィー用試料作製装置を見学した。本研究所の強みであるタンパク質複合体の構造解析に関する最先端設備に、参加者は強い関心を示していた。
【4日目】
岡山大学倉敷キャンパスの資源植物科学研究所を訪問した。駅から研究所へ向かう途中、倉敷美観地区の伝統的な町並みを見学した。午後は、坂本教授が研究所の活動概要を紹介し、Michael Hippler教授が光合成研究の最新成果を紹介、Matthias Rögner教授が光合成研究の重要性を解説した。
また、招へい者のNeingusanuo Kire氏がナガランド州の文化・伝統・自然などを紹介し、Meguovilie Sachu博士がシアノバクテリアを用いた光合成阻害剤に関する研究発表を行った。
【5日目】
岡山から京都へ移動した。京都大学の伊福教授を訪問し、研究交流を行った後、京都市内にて清水寺・高台寺など日本の伝統的寺院建築を見学した。
【6日目】
京都大学農学研究科において、伊福教授が緑藻や珪藻などの藻類における光合成に関する講義を行った。その後、研究室を見学し、大学院生を含む若手研究者と交流した。夕方、関西空港近くのりんくうタウンのホテルへ移動した。
【7日目】
りんくうタウンから関西空港へ移動し、11時発の便にて一行は離日した。
今回の招へいでは、短期間ではあったが、岡山大学と京都大学の2大学において、光合成の基礎・環境適応・応用に関する研究交流を行うことができた。また、岡山および京都において日本の文化・歴史に触れる機会を提供でき、非常に有意義なプログラムとなった。本プログラムの実施にあたり、岡山大学および京都大学の多くの皆様のご協力をいただいたことに深く感謝申し上げる。