2025年度 活動レポート 第12号:日本工業大学

2025年度活動レポート(一般公募プログラム)第12号 (Aコース)

日印の国際協力の重要性と技術革新の実現可能性を学ぶ

日本工業大学からの報告

2025年9月21日~9月27日、「科学技術の将来性、潜在的可能性、科学技術分野における日印の国際協力の重要性と技術革新の実現可能性を学ぶ」をテーマに、A.科学技術体験コースのプログラムを実施しました。プログラムでは、本学の機械工学科、ロボティクス学科での講義・実習を通じた実工学の体感、日本の実社会の現場であり本学と関係がある企業見学、およびその社員の方々とのコミュニケーションを通して、学校と企業の連接を実感することができました。また、日本科学未来館の見学、本学の付属高校での生徒との語学や文化交流、さらに、商業施設を見学したことで、日本での日常生活を垣間見てもらうこともできました。日印の国境を越えた科学技術に基づく交流、および文化的な相互交流を通して、日印双方による科学技術の未来と可能性を考え、そこにどのような貢献ができるかを、南インドの学生が体感できた、とても内容の濃い1週間となりました。

【9月21日】

インド共和国タミルナドゥ州カルール(南インド地方、主要言語はタミル語)にあるM・クマラサミー工科大学(M・Kumarasamy College of Engineering, 以下“MKCE”)の学生7名および引率2名(うち1名は自己資金招へい者)の計9名が来日しました。学生達、全員が日本に来たのは初めてでしたが、近い将来、日本の企業に就職する夢を持って、日本語や日本文化を学習している学生のなかから選抜されての来日となりました。来日した全員が日本語に長け、日本文化を理解し、勤勉であったことに感動しました。

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成田空港に到着し、インド国旗と持参したさくらサイエンスの横断幕掲げての記念撮影

【9月22日】

理事長・学長表敬訪問

理事長・学長 表敬訪問から7日間のプログラムがスタートしました。

キャンパスツアー

キャンパス内にある先端材料技術研究センター、工業技術博物館を見学し、科学技術の発展初期から最先端技術の機器までを見て回りました。走査型透過電子顕微鏡(STEM)、X線光電子分光分析装置(XPS)、X線回折装置(XRD)、オージェ電子分光分析装置(AES)など初めて目にする最先端装置であったらしく、興味津々な様子でした。
工業技術博物館では、動態保存されている蒸気機関車や国家プロジェクト「ムーンライト計画」で開発された発電用ガスタービンなど、過去の産業を支えた科学技術の結晶ともいえる機械資産を見学しました。

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先端技術センターにて

【9月23日】

実工学体験1

機械工学科の桑原教授による流体工学について、1回目の講義と実習を経験しました。日本工業大学の紹介に始まり、インドの学生が日本でエンジニアとして活躍するための基礎知識を修得しました。また、流体工学とAIの関連を通して、融合分野の研究開発事例を学びました。近年の科学技術の変遷についても学びました。

社会科見学-商業施設訪問―

大学近郊にある商業施設を見学し、商業施設の規模や流通する商品の豊富さ、物価の高さなどを目のあたりにして日本の日常生活を体感する時間となりました。同伴した日本の学生とも交流を深めていました。

【9月24日】

実工学体験2

機械工学科の桑原教授による流体工学について、2回目の講義と実習を経験しました。

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桑原教授による流体工学についての実習風景

日本科学未来館訪問

日本科学未来館を訪問し、未来の科学技術をテーマとした様々な展示物を目にし、地球、その先の宇宙と一体となった科学技術の世界とその未来像を通して、世界が共生していくことの重要性と科学技術が果たす役割を肌で感じる貴重な時間となりました。

【9月25日】

国際交流―日本工業大学駒場高等学校・中学校訪問

交流の場を設けて親睦の和を広げました。グループワークで日本の扇子づくりにも挑戦し、インドの大学生が積極的に日本語を使ってコミュニケーションをとりながらの協働作業が印象的でした。

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扇子つくりを終えて、全員で記念撮影

企業訪問1

午後には企業を訪問し、同社のグローバル戦略など日本のIT企業の現在地についての講義を受けるとともに、日本の企業に就職するために必要なことなどをグループに分かれて質疑応答する場を設けていただき、日本企業に就職するという彼らの夢実現に向けた後押しをする場となりました。

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日本企業への就職について真剣に質問する学生たち

【9月26日】

実工学体験3

ロボティクス学科の中里教授によるロボット工学の講義を受けました。
積極的な質疑応答が求められる講義形式が行われ、活発に発言する学生達の姿が見られました。

企業訪問2

株式会社イチネンケミカルズの研究開発センターを訪問しました。企業の説明に加え、企業での研究開発について知ることができました。終始和やかな雰囲気で、先端の測定機器や研究開発室も見学し、インドの学生も色々な質問をしていました。企業担当者も彼らの日本語能力の高さ、盛んにメモをとる姿をみて感心していました。

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株式会社イチネンケミカルズでの研修風景

【9月27日】

成果発表会を経て帰国の途に

プログラムが終了にあたり、各学生が今回のさくらサイエンスプログラムについて成果報告のプレゼンテーションをしました。本学での実工学体験、日本を代表する企業への訪問、本学附属高校での国際交流などを通じ、彼らの将来の夢である日本企業への就職に向けて決意を新たにしてインド一行は帰国の途につきました。

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さくらサイエンスプログラム修了証を手にして記念撮影