2025年度活動レポート(一般公募プログラム)第8号 (Aコース)
境界潤滑現象の理解に向けたトライボロジー評価・分析技術の高度化と展開
京都大学からの報告
2025年8月4日から8月9日までの6日間、中国 合肥工業大学の機械工程学院 摩擦学研究所のJimin Xu准教授、Juchen Zhang准教授と2名の修士学生を招へいし、合同セミナーおよび実験実習体験を中心としたA.科学技術体験コースのプログラムを実施した。
合肥工業大学は、2005年に国家「211プロジェクト」重点大学に、2009年に国家「985プロジェクト」優位分野イノベーションプラットフォーム大学に、そして2017年に国家双一流大学に選ばれた今非常に勢いのある大学である。同大学は「人材で大学を強化する」という戦略を精力的に実施し、ハイレベル人材の育成に力を注いでいる。実際、9つの学問分野がESI世界ランキングの上位1%に入り、そのうち、工程科学学問分野はESI世界ランキングの上位0.1%に入っている。イギリスやアメリカを含む100以上の著名な大学と交流・協力関係を結んでおり、毎年、中国内外の多くの有名大学と様々な種類の共同育成プログラムを実施し、学校運営、異文化交流、実習などの協力、各種学術交流活動を行っている。
その合肥工業大学 摩擦学研究所のJimin Xu准教授は、2023年度から2024年度にかけて、中国国家留学基金管理委員会(CSC)による奨学金により当研究室に招へい外国人学者として1年間滞在された。その間、さまざまな共同研究を実施するともに、将来のトライボロジー研究のあり方について多くの議論を行った。近年、中国は省エネルギー社会の構築に向けて莫大な予算を投資しており、トライボロジー技術においてもその分野を先導する国家として一躍名乗りを上げようとしている。本交流はそのような中国の動向を直接的に感じるまたとない機会であり、当研究室のスタッフ、学生にとっても大きな刺激となるのみならず、本プロジェクトでの交流が更なる頭脳循環を生むと考え、申請に至った。
プログラムのスケジュールは、両研究室の研究を紹介する合同セミナーと実験実習体験を中心としたものとした。合同セミナーでは、両研究室から4名ずつが現在取り組んでいる研究について紹介し、議論を通して互いの研究内容について理解を深め合った。
また実習では、2班に分かれて実際の装置を用いた実験体験プログラムに取り組んだ。具体的には、1班は周波数変調式原子間力顕微鏡(FM-AFM)を用いた分析実習を、2班は狭小すきま摺動試験機を用いた評価実習を行い、グラファイトやMXeneといった近年注目されている二次元材料を対象とした実験に取り組んだ。そして最後に得られた結果に関するプレゼンテーションを行うことで実習の意義と成果を共有し、今後に向けた意見交換を行った。