2025年度活動レポート(一般公募プログラム)第7号 (Aコース)
マルチハザード災害を考慮した持続的な都市防災に関する交流
東京理科大学からの報告
東京理科大学創域理工学部では、2025年8月21日から27日にかけて、インドSRM科学技術大学から学生7名と教員1名を招へいし、「マルチハザード災害を考慮した持続的な都市防災に関する交流」をテーマとした学術交流を実施しました。世界各地で頻発する自然災害に対応できる防災人材の育成を目的に、最先端の都市防災研究を学び、防災施設の見学やワークショップ等の体験を通じて、理論と実践の両面から防災への理解を深めました。
【初日:オリエンテーション】
早朝に成田空港に到着後、鉄道で本学野田キャンパスまで移動し、学内の宿泊施設に案内後にオリエンテーションを実施しました。昼食時には簡単なウェルカムパーティを行い、自己紹介や趣味の話で打ち解け、和やかな雰囲気で交流の第一歩を踏み出しました。
【2日目:都市防災全般および火災に関する講義と見学】
午前は本学のサスティナブルアーバンシティセンターを訪問し、堂脇教授よりエネルギーとライフサイクルアセスメント(LCA)に関する特別講義を実施しました。続けて、柳沼准教授より都市防災の概論およびAI技術を活用した災害時モニタリングに関する研究を紹介しました。
午後は本学の火災科学研究所を訪問し、桑名教授より火災メカニズムや火災被害に関する講義を実施し、大規模燃焼実験施設を見学しました。迫力ある実験施設に学生たちは高い関心を持ちました。
【3日目:水害と地震に関する講義と見学】
午前は本学のマルチハザード都市防災拠点を訪問し、二瓶教授による水害に関する講義と実験施設での水中歩行体験を実施しました。膝下(約30cm)程度の水深で歩行が困難であることを学生自ら体験し、水害の危険性を強く実感しました。
午後は宮津准教授より地震に関する講義と免震構造物の見学を行いました。また、東日本大震災等の地震動を再現した振動台体験では、多くの学生が初めて体感する大きな揺れに驚きを示しました。水害や地震を疑似体験できたことは、学生にとって貴重な経験となりました。夜には研究室で日本食交流パーティを開催し、素麺や巻き寿司、さらには納豆や梅干などにもチャレンジしてもらい、文化的な交流を深めました。
【4日目:日本科学未来館および首都圏外郭放水路の見学】
日本科学未来館にて我が国の科学技術に関する展示を見学しました。その後、国土交通省が管理する首都圏外郭放水路を見学し、大規模水害対策施設のスケール感に圧巻されながらも、水害が多いインドではこのような施設の重要性を改めて認識しました。
【5日目:国土交通省訪問、バスタ新宿および高輪ゲートウェイ見学】
国土交通省関東地方整備局を訪問し、行政が行う災害対策に関する講義と防災関連施設の見学を行いました。防災対策室や防災通信設備などは、一般公開されていないため、貴重な経験となりました。その後、バスタ新宿や渋谷再開発地区、最新のスマートシティである高輪ゲートウェイを見学し、災害時にも機能する都市・交通インフラの必要性と有効性を学びました。
【6日目:防災科学技術研究所訪問、成果報告会】
防災科学技術研究所を訪問し、災害時モニタリングに関する講義と振動実験および降雨実験施設を見学しました。特に、降雨実験施設では、実際に雨を降らせた実験を体験することができました。その後、本学のキャンパスに戻り、これまでの講義や見学、ワークショップでの議論を踏まえた成果報告を実施しました。学生個々の防災意識の向上を強く感じる発表でした。
夜には関係者・協力者を招いたフェアウェルパーティを開催し、本プログラムの感想や要望、思い出などを語り合いました。最後に双方から感謝を述べ、さらなる連携への期待を共有しました。
本プログラムは、日本とインドが共通して直面する「災害」という喫緊の課題に対して、相互理解と防災意識の向上を促す貴重な機会となりました。今回の交流を契機に、新たな留学生受け入れや共同研究の展開につながることを期待しています。最後に、本交流事業にご協力とご支援を頂いた関係各所の皆さまに心より感謝申し上げます。