さくらサイエンス・ハイスクールプログラム 第2グループ
浦和第一女子高校で梶田隆章博士の特別講義を受講
5月23日(木)、SSHP第2グループとして来日中のインド、韓国、タイ、ブルネイ、キルギスの高校生たちは、埼玉県立浦和第一女子高等学校(通称「浦和一女」)の生徒たちと交流し、同校の生徒たちと一緒に、ニュートリノ振動の発見等の功績でノーベル物理学賞受賞の梶田隆章博士の特別講義を受講しました。
浦和一女は文科省からSSH(スーパーサイエンスハイスクール)に指定されている高校です。はじめに、同校の生徒とタイからの代表生徒がそれぞれの科学分野での探求学習の成果を英語で発表し合いました。
浦和一女の生徒の発表の一つは、アフリカなど一部の国が抱える下水(トイレ等)浄化の環境課題を踏まえ、犬の糞を用いて、加熱、エタノール、レモン果汁などによるバクテリアの殺処理効果を実験するものでした。海外の生徒から「加熱処理の温度は?」「なぜ犬の糞を使ったのか?」など詳細に及ぶ質問が出され、高い関心を引いたようです。
アナウンス部が制作したという学校紹介ビデオの上映では、体育祭のムカデ競争やタイヤ引き合戦の様な独特の団体競技に海外の生徒から歓声や笑いが上がっていました。
その後、海外からの生徒は9つのグループに分かれ、①華道、②茶道、③琴、④日本舞踊、⑤長唄、⑥能楽、⑦生物(DNAストラップづくり)、⑧化学学実験、⑨剣道 などの日本文化やクラブ活動を体験しました。琴や能楽(三味線)では日本の伝統楽器の演奏に挑戦。能楽や日本舞踊、剣道の体験では着物や武具を着用してはにかみながら生き生きと活動する姿が見られました。
午後は全校生徒(1,000人以上!)が体育館に集まり、楽しみにしていた 梶田隆章先生の講義です。
梶田先生は自分自身の弓道に熱中した高校、大学時代、大学院で本格的な物理研究の道に進んだきっかけから、スーパーカミオカンデによるニュートリノ振動の発見、現在リーダを務める「KAGRA」プロジェクトにおける重力波の観測・分析の試みなどを解説。質疑応答では、まだ謎が多い「暗黒物質(dark matter)」や、ニュートリノや重力波の研究成果を合わせる事によるスーパーノヴァ(恒星の爆発的な崩壊)現象など、宇宙の始まりに関わる現象の分析や解明の可能性について、先生の意見を尋ねる質問が出され、生徒たちの興味関心、レベルの高さを感じさせられました。
最後に梶田先生は生徒達に、地道にあきらめずに取り組む事の大切さ、そして日本では特に女性の研究者が少ない事にも言及され、「今日をきっかけに少しでも関心を持った生徒がいたら、ぜひ研究の道に進むことも考えて欲しい」と優しく語りかけてくださいました。