2024年度 活動レポート 第87号:宮崎大学

2024年度活動レポート(一般公募プログラム)第87号 (Cコース)

AIおよびIoTによるDXを牽引するための次世代人材育成プログラムと研究交流

宮崎大学からの報告

2024年8月25日から9月3日までの期間、JSTさくらサイエンスプログラムの一環として、宮崎大学は、VIT大学(インド)、プリンスオブソンクラー大学(タイ)、ラジャマンガラ工科大学スリビジャヤ校(タイ)の3大学より、大学生1名・大学院生8名・研究者1名・引率教員3名の計14名(自費参加2名含む)を招へいし、AIおよびIoTによるDXを牽引するための、次世代人材育成プログラムと研究交流を実施しました。
 各国の急速に進むインフラ整備に備え、情報通信・IoT、人口知能などが各国の今後の経済成長を支える分野になることを鑑み、それらの分野を牽引するための次世代人材育成のため本プログラムを実施しました。

来日後、まず招へい者たちは、福岡市科学館を訪問し、日本の生活を支えるシステムやテクノロジーなどについて、見学を行いました。その後、大学に移動し、本学の教員による日本語講座を受講し、ひらがなや基本的な挨拶などの日本語の基礎となる部分について、学習しました。

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日本語講座

人材・研究交流という観点において、担当教員の研究室の学生とともに、ディープラーニングに関する実習および共同制作、ならびに研究についてのディスカッションを実施しました。実習は研究室の学生と参加者を混合編成した複数のチームに分かれ、Raspberry Pi(ARMプロセッサを搭載したシングルボードコンピュータ) を用いた課題に取り組む形式で進めました。また、プログラムの一環として「人工知能と機械学習の最新技術および応用」および「次世代人工知能技術分野に関する最新の技術動向」に関する講義を実施しました。

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宮崎大学の研究室の学生との演習風景

また、本学農学部住吉フィールドの見学を実施し、担当教員が主導する「AIとIoT技術を組み合わせた乳牛の健康管理システム」のために導入した機材ならびにシステムについて紹介しました。これらの活動を通じて、参加者は最新技術に関する理解を深めるとともに、帰国後には工学分野に限らず幅広い応用可能性を視野に入れた研究を展開する能力を養うことができました。

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宮崎大学 住吉フィールドにて最新技術型実証牧場の視察

さらに、日本文化に対する知見を深めるために、講師を招いて、日本におけるマナーの講義や着物の着付け体験を実施しました。また、宮崎県西臼杵郡高千穂町への視察を実施し、より実践的な環境において、日本文化に対する理解を深めることができました。

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日本文化講座

プログラム最終日には、国際シンポジウムおよび修了式を実施しました。学内外の幅広い方々にご参加いただき、学術的・文化的交流が活発に行われました。

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国際シンポジウムの様子

本プログラムでは、座学に偏らず、実践的・応用的な実習や視察を多数取り入れ、技術の習得を促進する構成とし、これにより、参加者が理論のみならず現場感覚や応用力を身につけることを可能としました。
 滞在4日目には、宮崎大学が主催する国際会議ICGEC2024に参加し、各自が自身の研究発表を行いました。本会議には、日本を含む9カ国(インド、インドネシア、オーストラリア、タイ、中国、台湾、ベトナム、ミャンマー)の100名を超える若手研究者が参加し、人工知能(AI)やビッグデータ等に関する最先端の研究成果が発表されました。さらに、産業界の専門家を交えた活発な議論も行われました。
 受入れ担当教員の専門分野は画像処理・認識・理解およびその関連分野であり、高度な画像処理技術やAI活用を通じて多様な社会課題の解決を目指しています。本プログラムを通じて、招へい者がICT関連の講義や実習を体験したことは、各国の課題解決に資するICT分野をより身近に感じ、今後の研究への関心を一層高める契機となりました。
 これらの活動を通じ、参加者は先端技術に関する理解を深めただけでなく、帰国後には工学分野にとどまらず幅広い応用可能性を視野に入れた研究を展開できる素地を養うことができました。

なお、プログラム参加者が発表した研究論文が高い評価を得るなど、非常に意義深い成果も得られ、国際的な研究交流を通じて、グローバルな視点を持ち、日本の科学技術の発展に貢献し得る人材育成を目指すうえで、本プログラムは極めて有効であったと評価できます。

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Completion Ceremonyにて修了証授与