2024年度 活動レポート 第85号:大阪公立大学

2024年度活動レポート(一般公募プログラム)第85号 (Aコース)

環境科学・バイオテクノロジー・食栄養領域共創に基づくイノベーション人材養成プログラム

大阪公立大学 国際基幹教育機構からの報告

2025年2月17日から23日までの7日間、ベトナム国家大学ホーチミン市校(Viet Nam National University Ho Chi Minh City, VNUHCM-US)より、学生7名(環境学部3名、生物工学部4名)および引率教員1名を招へいし、交流プログラムを実施しました。

本プログラムでは、科学技術を活用した課題解決型の学びを通して、社会課題に対する課題設定力や解決手法のスキルを習得することを目的としました。また、本学学生とのグループワークやディスカッションをプログラムでは重視し、大阪公立大学からは、学生8名(工学部4名、商学部2名、生命環境科学域2名)が参加し、理系・文系・国際という多様なバックグラウンドを持つ学生同士が協力することで、文化・言語・専門性の違いを乗り越えて協働する姿勢、学びを深めました。

プログラムのテーマは「バイオ×食×環境」とし、事前学習と講義、企業見学、グループワーク・フィールドワーク、発表を実施しました。大阪・堺を拠点に、京都へのフィールドワークや企業訪問を含む、多角的かつ地域に根ざした学習の機会が提供されました。

活動レポート写真1
京都フィールドワーク 工場での集合写真

講義では、食と栄養、環境課題、バイオテクノロジーの分野を中心に、先端的な科学技術を活用した解決事例が紹介され、学生たちは理論と実践の接点について学ぶことができました。加えて、関西地域のイノベーションを支える企業や研究施設、たとえばダイキン工業テクノロジー・イノベーションセンターや学内の植物工場を訪問し、日本の先進技術の現場に触れる貴重な機会を得ました。さらに、京都では佐々木酒造、井筒八ッ橋本舗、西利など、伝統産業の現場を見学し、地域文化と技術の融合を体験しました。

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学内研究施設見学

グループワークでは、日本人学生とともに京都の民宿に宿泊し、和室での布団や共同風呂の体験を通じて日本の生活文化への理解を深めました。また、町家での着物体験や、伝統的な日本料理の松花堂弁当を食べ、酒蔵、和菓子、漬物などの伝統産業に関する見学を行い、地域文化と技術の関係性について学びました。その後、事前学習で共有した課題意識をもとにグループごとにフィールドワークを実施し、現地の方々へのインタビューやアンケート調査を通じて、持続可能な解決策の検討に取り組みました。

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京都フィールドワークでの着付け体験の様子

最終日に行われた成果発表会では、3つのグループがそれぞれ「Plastic Pollution」、「Matcha and the Tea Ceremony in Japan」、「An Evaluation on Alcohol Usage」というテーマで発表を行い、異分野の知識を融合させた多角的なアイデアを提示しました。

本プログラムを通じて、参加学生たちは専門分野の枠を超えた相互理解を深め、文化・言語・学問領域の違いを超えて協働する貴重な経験を得ることができました。また、科学技術を知識として学ぶだけでなく、それを社会にどのように実装していくかという実践的な視点を養うことができ、非常に有意義な取り組みになりました。本校の学生は、ベトナムからの招へい学生の意欲的に学ぶ姿勢に深く感銘を受け、プログラム終了後も相互にやりとりを続けながら交流を深めています。この取り組みは、ベトナム側招へい学生はもちろんのこと、日本側双方の学生にとって大きな財産となり、今後の学術的探求やキャリア形成においても大きな糧となることが期待されます。

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文化交流の様子(ベトナムの伝統衣装アオザイ)

本プログラムをサポートしていただいたJSTの皆様、プログラムの実施にご参加、協力いただいた関係者の皆様に御礼申し上げます。特に株式会社井筒八ッ橋本舗 代表取締役会長/社長 津田 佐兵衞様、同社長室秘書 住友 奈尾子様には、京都での取り組み全てにおいて多大なるご協力をいただきましたこと、合わせて御礼申し上げます。

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最終発表会終了後の集合写真