2024年度 活動レポート 第81号:山梨大学

2024年度活動レポート(一般公募プログラム)第81号 (Aコース)

食の持続性:必要な量、必要な栄養をどのように確保するか
~国際的な視点で課題解決に挑む~

山梨大学からの報告

山梨大学では2025年2月9日から15日にかけて、「食の持続性」をテーマとしたA.科学技術体験コースのプログラムを実施しました。「食の持続性」は国境を越えた喫緊の課題ですが、具体的な問題は地域によって異なります。このような状況を踏まえ、本プログラムではトルコ、カンボジア、バングラデシュから食品科学を専門とする意欲的な学生たちを招へいし、ここ山梨の地で本学学生と共にこの重要課題について考え、国際的な視点と協働経験を得ることを目指しました。 また、日本の先端的な科学技術に触れる機会を提供すること、さらに、本学に在籍する留学生との交流を通じて日本への進学イメージを具体化するサポートを行うことも重要な目的としました。国際的なチームで課題解決に取り組む経験は、将来グローバルに活躍する研究者育成の観点からも大変意義深いものです。

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招へい者集合写真(山梨大学校門前)

プログラムでは、山梨大学地域食物学科の研究室を訪問し、「食品残渣を活用した農業」や「食品の栄養と健康」といったテーマの最前線に触れました。 また、企業や自治体の方々との交流では、研究が社会でどう活かされているかを肌で感じると共に、現場が抱えるリアルな課題に触れることで、学生たちの視野を広げる機会を提供しました。

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森林の中で山梨県の土壌に関するレクチャーを受ける

その中でも、得に、大学発ベンチャーである株式会社SD Global AgroTec Japan(片岡研究室)での経験は、学生にとって象徴的な学びの機会となりました。 同社が実践する食品残渣を活用したきのこ栽培事業は、まさに地域課題の解決と研究成果の社会実装を結びつける先進事例です。訪問を通じて、研究を社会に役立てるプロセス、地域理解の重要性、そしてローカルな活動がグローバルな貢献に繋がりうることを、学生たちは改めて強く認識し、大きな刺激を受けました。

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食品残渣を活用したきのこの栽培に関する説明を受ける

最後に、アイディアコンテストでは、招へい学生と本学学生が国籍や専門を超えたチームを組み、合宿形式で課題に対する解決策を練り上げました。文化や専門性の違いを乗り越え、活き活きと議論し、一つの提案にまとめ上げていくプロセスは、まさに国際チームで課題解決に取り組む貴重な実践であり、見ている我々にとっても感動的でした。最終日のプレゼンテーションでは、教員や企業の方々からのフィードバックを受け、さらに考えを深めていました。この経験は、参加した学生たちの大きな成長に繋がり、交流を通じて得た新たな視点から地域課題の解決策を考える力を養いました。

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アイディアコンテストで優れた発表をしたグループ

また、本プログラムにおける特筆すべき成果として、クルナ大学(Khulna University)との間で、今後の両大学間における教育・研究協力の強化を目的とした協定を締結しました。この協定は、今後の学生交流、研究者交流、共同研究プロジェクトの推進などを目指すものであり、両大学の国際連携を深化させる重要な基盤となります。この締結は、学生・教員間の交流を深め、将来の国際協力や共同研究を促進するという本プログラムが目指した効果を具体化するものであり、プログラムの大きな成功を示すものです。

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クルナ大学との協定の締結