2024年度 活動レポート 第79号:リモート・センシング技術センター

2024年度活動レポート(一般公募プログラム)第79号 (Cコース)

小型地球観測衛星の開発・運用を目指したリモートセンシング技術研修

リモート・センシング技術センターからの報告

一般財団法人リモート・センシング技術センター(RESTEC)では、2025年2月11日から20日の日程で、さくらサイエンス交流プログラムC.科学技術研修コース「小型地球観測衛星の開発・運用を目指したリモートセンシング技術研修」を実施し、ジンバブエ国立地理空間宇宙局(ジンバブエ)、ケニア宇宙機関(ケニア)、ガーナ宇宙科学技術研究所、ガーナ大学(以上ガーナ)、ダルエスサラーム工科大学、タンザニア国立公園局(以上タンザニア)、ボツワナ国際科学技術大学、ボツワナオープン大学(以上ボツワナ)から計10名の研究者を受け入れました。

本プログラムは、九州工業大学が2016年より実施している途上国と協力して超小型衛星を共同開発する国際的プロジェクト(BIRDSプロジェクト)に参画、あるいは参画を検討しているアフリカの機関に所属する研究者に、地球観測衛星データの解析・利用の重要性及び開発から社会実装までの流れを深く理解し衛星開発を推進するモチベーションを高めてもらうとともに、衛星リモートセンシングの技術をアフリカ各国に普及する契機とすることを目的として実施しました。

プログラム期間中、RESTECからは衛星リモートセンシングを用いた地球観測の原理、衛星データを用いた課題解決・国際協力、衛星リモートセンシングデータの可視化に関する講義や実習を行いました。

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衛星リモートセンシングを用いた課題解決・国際協力の講義風景

また、プログラムには日本に対する理解をより深めてもらうために、伝統文化を体験する機会も盛り込みました。茶道体験には、埼玉県鳩山町長も参加し、一緒にお茶を飲みながら鳩山町の文化資源に関する意見交換を行いました、また、和紙の紙漉き体験では、日本の伝統工芸保存活動や和紙の作り方について講義を受け、各国の製紙文化の状況を話し合う姿も見られました。

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茶道体験中の埼玉県鳩山町長との記念撮影

一方で、外部機関にも協力いただき、JAXA地球観測センター、東京電機大学での地球観測データの受信に関する講義や施設見学、九州工業大学による超小型衛星開発及び試験に関する講義、株式会社Synspective及び株式会社アークエッジスペースによる小型地球観測衛星の開発・運用・サービス提供に関する講義などが行われ、幅広い知識や技術に触れる機会が提供されました。

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九州工業大学布施准教授による宇宙環境試験に関する講義風景

研修生たちは、日本の小型人工衛星開発・地球観測技術に強い関心を示すとともに、自国における小型地球観測衛星の開発・運用への応用や各国機関間の協力について講師や他の研修生たちと活発に議論を行っていました。特に、研修第9日に行われた研修成果を今後に生かすための議論では、研修生たちが帰国後も連絡を取り合い、所属機関の同僚たちとも協力して今回のプログラムを契機とした継続的な活動をするためのアクションプランを自主的に作成していました。

今回のプログラムを通じて、研修生たちが衛星開発は地球観測データの取得や各種課題解決に繋がることを理解し、BIRDSプロジェクトで実際に小型地球観測衛星を開発し、その後もデータ利用の面で日本との技術協力を継続してくれることを期待しています。

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クロージングセレモニー後の記念撮影