2024年度 活動レポート 第78号:東北大学

2024年度活動レポート(一般公募プログラム)第78号 (Aコース)

南アフリカ共和国ヨハネスブルク大学との共同研究交流

東北大学からの報告

2025年3月1日から6日まで、 南アフリカ共和国ヨハネスブルク大学(UJ)のSamuel Oluwatobi Oluwafemi教授を団長とする修士・博士学生8名が、東北大学大学院医工学研究科小玉研究室を訪問しました。このプログラムは、南アフリカにおけるリンパ行性薬物送達法(LDDS)の臨床応用に向けた研究体制の強化と、LDDS開発の基礎であるマウス実験の技術習得を目的として実施されました。

参加者は、 LDDSの治療効果を評価するためのマウス実験や、LDDSに基づく転移リンパ節治療の第I相臨床試験の概要説明を受け、南アフリカにおける薬事承認プロセスに関するワークショップにも参加しました。また、駐日南アフリカ共和国大使館のハリブ・ジェピー公使(科学イノベーション 教育担当)が来訪し、小谷元子理事・副学長、そして小玉哲也教授らとの意見交換が行われました。この交流を通じて、南アフリカ政府による大学間連携の強化が期待され、双方の研究者たちが協力して進める科学技術の発展に対する意気込みが深まりました。
 ジェピー公使は、南アフリカにおける大学との共同研究や学生教育の重要性について感謝の意を表し、両国間での学生交流や定期的なシンポジウムの開催についての期待を示しました。このような意見交換を通じて、南アフリカ政府、東北大学、そして参加した研究者たちが一丸となって、今後の共同研究や技術開発に向けて強固な基盤を築くことができました。

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駐日南アフリカ共和国大使館のハリブ・ジェピー公使を迎えてワークショップを開催

【交流と学び】

参加した学生たちは、LDDS技術の実験手法やナノ粒子合成の最新技術を学び、東北メディカル・メガバンクを訪問して最先端のゲノム解析技術にも触れました。日本の研究環境や公共文化、食文化に対する理解も深まり、学びを自国に持ち帰る意欲が高まりました。学生たちの感想からは、以下のような意見が寄せられました。

  • 日本の最先端の研究環境に触れ、研究技術の幅が広がったと感じています。特に、 LDDS技術の実験手法やナノ粒子合成の実際の応用例を学べたことが印象に残っています。
  • 東北大学での実験や講義を通じて、自分が今後取り組むべき研究の方向性がより明確になりました。日本の科学技術に対する熱意と精緻さを実感し、自国の研究をさらに発展させたいという思いが強くなりました。
  • 日本の文化や食文化にも触れ、生活の中での細やかな配慮に驚きました。交流の中で感じた文化的な違いを、自分の研究に生かしていきたいと考えています。

また、学生たちは今回の交流を通じて、南アフリカと日本の学術的な連携がより深まることを期待し、将来的には共同研究をさらに進めるための橋渡しとなることを強調していました。

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LDDS研究およびナノ粒子合成に関して双方の学生が発表しました

【研究交流の成果】

このプログラムは、南アフリカにおけるLDDSの臨床応用に向けて、研究体制の強化と技術習得を目的とした貴重な交流の場となりました。南アフリカ政府の支援を受けて、両国の研究者同士の相互理解が深まり、共同研究の枠組みが強化されました。 特に、南アフリカにおけるLDDSの臨床試験の実施に向けた研究体制の構築が進み、 南アフリカにおけるがん治療の新たな可能性が広がる成果を上げました。

【結論と展望】

本交流を契機に、南アフリカ政府と東北大学、そして参加した研究者たちが一体となって、両国間の科学技術交流をさらに発展させることが期待されます。今回の成果は、南アフリカ政府の支援のもと東北大学との強力な連携によって実現したものであり、今後の共同研究がさらなる成果を生み出し、LDDSをはじめとするがん治療法の開発に向けた道を開くことに貢献するでしょう。国際的な研究交流を推進し、新たな科学技術イノベーションを生み出していくための重要な一歩となりました。

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東北メディカル・メガバンクにて