2024年度 活動レポート 第75号:鳥羽商船高等専門学校

2024年度活動レポート(一般公募プログラム)第75号 (Aコース)

サステナブル社会を創るPBLワークショップ 
~サーキュラーエコノミーモデルによる地域イノベーション~

鳥羽商船高等専門学校からの報告

鳥羽商船高等専門学校(三重県鳥羽市、校長:古山 雄一、以下「鳥羽商船高専」)は、令和7年2月8日(土)~13日(木)、サステナブル社会を創るPBLワークショップ 「サーキュラーエコノミーモデルによる地域イノベーション」を実施しました。

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ウェルカムセレモニー(8か国の学生が集合)にて

世界各国の社会文化背景を理解し、技術を基にしたサーキュラーエコノミーモデル(循環型経済発展)の立案を通して、共感される提案や合意形成とはいかなるものかを経験することに取り組みました。海外からはCollege of Industry and Trade(ベトナム)、Singapore Polytechnic(シンガポール)、Otago Polytechnic(ニュージーランド)、Kauai Community College(アメリカ)から学生を招へいし、国内の鳥羽商船高専、木更津高専、舞鶴高専、熊本高専の学生(マレーシア、カンボジア、モンゴルからの留学生を含む)と多国籍チームを構成し、世界共通の問題である「水」をテーマとして以下の①~⑦の取組を実施しました。

①アイデアソン

事前オンラインプログラムを4回実施し、各国の飲料水事情について共有、海水淡水化技術の学習を行いました。その後の対面プログラムではグループメンバーが意見を交換し、海水淡水化装置の設計を実施し、得られた淡水を利用したサーキュラーエコノミーモデルを立案しました。

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海水淡水化装置の設計アイデアソン

②メンタリング

グローバルに事業を展開されている企業からメンターを派遣いただき、対面およびオンラインでメンタリングを受け、立案したサーキュラーエコノミーモデルの具体化や実現性の向上に取り組みました。

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サーキュラーエコノミーモデルの具体化のためのメンタリング

③ラボワーク

グループワークによる海水淡水化装置の製作を行い、PythonとArduinoにより温度上昇、生成される淡水重量、イオン量の計測を実施した。また電力量当たりの淡水生成量を競い、開発結果をテクニカルペーパーにまとめました。

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海水淡水化装置の作製と各種データ収集
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海水淡水化装置の運転成功

④フィールド学習

地域スタートアップ企業への訪問、地域資源の見学、地域課題の発見を行うフィールド学習を実施し、ビジネスや社会実装の面に関して新たな気づきや視点を得ることで、立案したビジネスモデルのブラッシュアップを行いました。

⑤ピッチコンテスト

ピッチコンテストを行い開発した装置について、地域課題を解決するサーキュラーエコノミーモデルについてプレゼンテーションを行いました。

⑥講演聴講

三菱電機株式会社、内閣府クールジャパン官民連携プラットフォーム、英国王立国際問題研から講演講師を招へいし「チームによる課題解決」、「グローバルリーダーシップ」、「価値創造」の講演を聴講し、グローバル人材として必須のチームワークやリーダーシップを涵養しました。

参加学生に対するアンケートからは、「異文化適応能力」(異なる信仰や文化を持っている人を理解し、受け入れる力)の向上、「価値観の多様性」の理解が最多回答となり、共感や合意形成に関する成長につながる結果が得られました。また、プログラム参加後どのような学習科目へのモチベーションが向上したか?の問いに対して、「英語」、「工学専門科目」という結果が得られました。テクノロジーベースのサーキュラーエコノミーを考案する中で、専門性がコアとなることを実感する結果が得られました。

今回のさくらサイエンスプログラムがきっかけとなり、鳥羽商船高専はベトナムのCollege of Industry and TradeおよびシンガポールのSingapore Polytechnicと年間を通じたオンラインベースのPBL活動を実施することで合意しました。今後も技術を基にしたサーキュラーエコノミーモデルの実現に継続して取り組みます。