2024年度活動レポート(一般公募プログラム)第73号 (Cコース)
エージェンシーとその熟達を促す要素の一つである科学技術の理解
早稲田大学からの報告
JSTのさくらサイエンスプログラムの支援を受けて、2025年1月25日から2月2日までの9日間に南アフリカ共和国のステレンボッシュ大学の学生5名と研究者2名(うち1名は自己資金招へい者)が日本を訪れ、本学教育学部の初等教育学専攻の学生との交流活動や東京近郊の研究施設等の訪問を通じた研修を実施しました。
【交流計画の目的・趣旨】
国内外の主要大学が留学の機会を奨励しているにもかかわらず、日本だけでなく、こうしたプログラムに参加できていない学生が多くいます。今回参加した南アフリカの学生も同様です。そこで、本交流計画では、日本と南アフリカとの学生交流や科学技術について理解を促し、「多様な文化、伝統、考え方に触れる」「レジリエンス(回復力)、自立心、適応力を養うことで、学生の人間的成長を支援する」「高度な科学技術に触れることで、学問的に成長する機会を学生に提供する」「学生に多様な進路や機会を紹介する」「多様な文化的背景を持つ仲間や専門家とのネットワークやつながりを築く」等を目的としました。本交流計画の実施は、南アフリカの学生だけでなく、将来を担う子供の教育を考える日本の学生にとっても、自らが置かれている状況とその変革を促すためのエージェンシー(Agency)について改めて考える機会の創出となることを期待して実施しました。
【オープニングセッションと学生同士の交流活動】
オープニングセッションでは、本学の箸本健二教育・総合科学学術院長や澤木泰代教育学研究科長から歓迎の挨拶をいただいた後で、交流計画の目的などについて説明するとともに、和やかな雰囲気のなかで代表の学生との交流をスタートさせました。その後、参加した南アフリカの学生と年齢が近い初等教育学専攻の1年生との交流活動を実施しました。


【JAXA調布航空宇宙センター訪問】
JAXA調布航空宇宙センターでは、航空宇宙に関する研究活動の理解だけでなく、それらの成果をどのように紹介していくのかというアウトリーチ活動についての学びも深めました。

【理化学研究所横浜キャンパス訪問】
理化学研究所横浜キャンパスでは、渡辺正実・理事長特別補佐(兼横浜事務所長)から理化学研究所の沿革日本の科学研究において果たす役割についてご説明をいただいた後、同研究所で研究活動を行っている外国人研究者から研究施設や研究内容についてレクチャーを受けました。質疑応答の場面では、学生や研究者から様々な質問もあり、有意義な研修となりました。
この他にも、学生たちは駐日南アフリカ共和国大使館や日本科学未来館等の訪問を通して、南アフリカと日本の関係構築において大使館が果たす役割や日本の子どもたちや一般市民が科学に触れて考える機会を得ていることについての学びを深めていきました。
【成果について】
本学学生の交流事業に関するアンケートからは、交流のための語学学習の必要性や相手国の教育制度や潜在的な課題について理解を深めるよい機会であったとの回答がありました。また、南アフリカの学生も日本についての関心や再訪問の意欲を高めることができ、交流事業の初発として、相互理解を促すよい機会になったと考えています。また、ステレンボッシュ大学の研究者からは、今後も交流事業を継続したいとの要望もあり、共同研究の実施や発展についても期待できることも、今回の交流事業の成果と考えます。

本交流事業の実施に際して、JSTの関係者の皆様や訪問先でご対応していただきました皆様、そして、本学の関係者に心より御礼申し上げます。
※本交流活動の成果等については、ステレンボッシュ大学でも紹介していただいています。詳しくは、ステレンボッシュ大学日本センターWebページ(https://www0.sun.ac.za/japancentre/2025/02/06/scimathus-sakura-science-exchange-a-transformative-experience-in-tokyo/)をご覧ください。