2024年度活動レポート(一般公募プログラム)第59号 (Aコース)
インドネシアと日本の災害支援における交流
~ICTを活用した被災地のメンタルヘルス支援~
横浜市立大学からの報告
2025年1月13日から19日まで、インドネシア・ハサヌディン大学の看護学科、理学療法学科の学生7名と教員1名を横浜市立大学医学部看護学科に招へいしました。この期間中、両国の医療制度や災害支援の特徴、ICTを活用したメンタルヘルス支援の可能性について、講義や演習を通じて学びました。
【被災地での疑似体験演習】
ICT記録ツールを活用した被災者支援の演習
横浜市立大学福浦キャンパスの大会議室でオリエンテーションが行われました。本学の庄司弥生特任助教が、日本の医療制度と看護についての講義を行い、学生たちは積極的に質問しました。午後には本学の医学部看護学科 精神看護学山田典子教授が災害医療アプリの開発に関する講義を行い、学生たちはその革新性に感動していました。
ハサヌディン大学の学生と横浜市立大学の学生は、アメリカンクリニック東京 公認心理師 赤井利奈先生のご講義を共に学ぶ中で、PFA(サイコロジカル・ファーストエイド)が災害時だけでなく日常生活でも活用可能であることを理解しました。また、ハサヌディン大学のAriyanti Saleh先生がオンライン講義を行い、インドネシアにおける自然災害と医療対応について解説しました。講義後には、両大学の学生同士が活発にディスカッションしました。

東日本大震災、能登半島地震の揺れを体験
東京消防庁 本所防災館を訪問し、地震や火災に備える体験型プログラムに参加しました。震度7の揺れや煙避難体験、消火訓練を通じて、災害対応の重要性を実感しました。参加者の中からは、日本の防災・備災プログラムに感銘を受けたという声も聞かれました。
午後には関東大震災で甚大な被害にあった浅草を訪問し、雷門や浅草寺を見学しました。伝統的な建築や歴史について学びました。

【救急医療と災害医療、災害食やメンタルケアについて二国間比較】
横浜市立大学附属市民総合医療センターを訪問し、救急看護認定看護師(Certified Nurse)の伊藤里香看護師より日本の救急医療と災害医療について講義を受けました。学生たちは多くの質問をし、講義に熱心に耳を傾けていました。その後、施設内を見学し、ヘリポート、救命救急センター、ドクターカーを視察することで、日本の災害医療体制について体感的に理解を深めました。
午後には市内で防災フィールドワークを行いました。横浜市南区や中区を歩きながら、災害時の避難所、津波警報伝達システム、海抜表示などを調査しました。これにより、都市部と湾岸部における災害対策の違いを理解し、日本とインドネシアの状況を比較しました。

災害時における食事と心身の健康への影響について「こぼれたねり」https://www.instagram.com/koboretaneri/ 菜食料理家 西岡真奈美先生の講義で学生たちは梅干しや醤油を使ったお茶を試しながら、日本の災害食文化について学びました。
震災後のメンタルケアと支援活動に関する認定NPO法人心の架け橋いわて理事長 鈴木満先生の講義や、東日本大震災時の訪問看護における課題について公益財団法人 井之頭病院 非常勤看護師 宮子あずさ先生の講義を受け、学生たちは災害時における看護師の役割について深く考える機会を得ました。

【互いの相違点から支援のありかたを考える】
横浜市立大学の国際看護学Ⅱの授業において、看護学科2年生の学生たちはグループワークとプレゼンテーションに取り組みました。この活動を通じて、日本とインドネシアの災害支援における相違点について議論し、相互理解を深めました。

このプログラムを通じて、学生たちは災害対策や医療支援に関する知識を深めると同時に、異文化交流を通じて互いの理解を深め、かつ両国間の友好関係も強まりました。
