2024年度活動レポート(一般公募プログラム)第54号 (Aコース)
歯科衛生士の訪問口腔健康管理および多職種連携、摂食嚥下リハビリテーションプログラムの体験
明海大学保健医療学部口腔保健学科
明海大学保健医療学部口腔保健学科では、2025年12月16日から12月22日に「歯科衛生士の訪問口腔健康管理および多職種連携、摂食嚥下リハビリテーションプログラムの体験」をテーマにプログラムを実施しました。
昨年度に引き続き、檀国大学校歯衛生学科(韓国)の学部生・大学院生6名と引率教授1名が来日し、訪問歯科診療や摂食嚥下リハビリテーションに関する講義・実習や本学学生との意見交換会等を実施しました。韓国では、現在医療・福祉政策の見直しが行われており、今回来日した学生たちも、日本の高齢者医療に関して高い関心を持っていました。
【講義・実習の様子】
「口から食べる機能が低下した方」の食事の困りごとの体験や、摂食嚥下障害のスクリーニングテスト、口腔機能評価の実習を行いました。対象者の「食べる機能」を知ることは、「口から食べることの支援」を行う歯科衛生士にとって非常に重要であり、研修生たちも興味深く参加していました。
その他にも、摂食嚥下障害者に対する訓練や食事介助の方法を相互実習にて学びました。また、摂食嚥下機能が低下した方でも安全に食事ができるように食品の硬さやまとまりやすさを調整した「嚥下調整食」の試食を行いました。日本の嚥下調整食品の種類の豊富さに驚き、感心している様子でした。

【訪問歯科診療の見学】
「船橋日大前さくらパーク歯科」の歯科医師、歯科衛生士とともに特別養護老人ホーム「船橋健恒会ケアセンター」にて、訪問歯科診療の見学を行いました。必要な機材や訪問歯科診療システムについて説明を受けた後、入居者に対して歯科衛生士が口腔ケアを行う様子を見学しました。口腔ケアの知識や技術だけではなく、全身状態や基礎疾患の把握の重要性や他職種との情報共有の大切さについて学びました。

【外部施設の訪問】
今回のプログラムでは、日本の超高齢社会を支える様々な施設を訪問し、歯科医療の枠を超えて、多角的な視点から貴重な学びを得ることができました。
東京大学高齢社会総合研究機構では、「日本の高齢者に対する保健・医療の現状と課題」 や「地域におけるオーラルフレイル予防対策」について講義を受けました。講義では、日本が直面する超高齢社会の実態や、今後の医療・福祉の方向性など様々な内容が語られ、特に地域に根差したオーラルフレイル予防の取組みについて具体的な事例を学びました。
また、埼玉県立大学専門職連携教育研修センターでは、日本における専門職連携教育の推進に向けた教育プログラムについて学び、その理念や実践方法について理解を深めました。専門職間の協力を促進するための具体的な取組みや教育モデルに触れ、多職種が連携する意義について考えることができました。
東京都健康長寿医療センターでは、高齢者の身体機能を評価するための様々な最新機器を用いたアセスメント方法を体験しました。これにより、口腔の健康だけでなく全身の状態を総合的に把握することの重要性を実感し、多職種が協働することでより包括的な高齢者医療の実現につながることを学びました。

【本学学生との交流】
本学4年生と檀国大学の研修生が「日本と韓国の歯科衛生士」や「各大学のカリキュラムの特色」についてプレゼンテーションを実施した後、「超高齢社会における歯科衛生士の役割」についてディスカッションを行いました。両国の学生が活発に発言し、それぞれの国の歯科衛生士や歯科衛生士教育について理解を深めることができました。
また、昼食を兼ねて、本学教員・学生と研修生との意見交換会を行い、食事を楽しみながら和やかな雰囲気で交流を深めました。
その他にも、本学部2年生と昼食を兼ねて「日本と韓国の食文化の紹介」を行いました。

【朝日大学および明海大学坂戸キャンパス訪問】
本学の姉妹校である朝日大学を訪問し、朝日大学病院の歯科口腔外科および朝日大学医科歯科医療センターにて施設見学を行いました。
また、明海大学歯学部付属明海大学病院では、歯科診療室の見学や歯科教育用患者ロボットシミュレーションシステムSIMROID®の体験などを行いました。

研修生からは、「この研修を通じて、日本の超高齢社会における口腔健康管理のシステムや教育方法について深く学ぶことができた。また、摂食嚥下リハビリテーションに関わる歯科衛生士が果たすべき役割について改めて考える貴重な時間となった」との感想をいただきました。加えて、特に印象に残ったプログラムについて尋ねたところ、「本学部の学生と交流できたこと」と回答した研修生が多くみられました。異なる文化的背景を持つ学生同士が直接対話し、意見を交わすことで、互いの学びを深めるだけでなく、歯科衛生士としての視野を広げる貴重な機会となったことがうかがえます。本学の学生にとっても、海外からの研修生と交流することで、日本とは異なる歯科医療の現状や考え方に触れ、新たな視点を得るきっかけとなったようです。
今回の貴重な経験を活かし、今後も檀国大学校をはじめとする海外の歯科衛生士養成機関との交流を一層深化させ、国際的な視点を持った歯科衛生士の育成に努めてまいります。
この場をお借りして、本学さくらサイエンスプログラムにご協力いただきましたみなさまに心より感謝申し上げます。