2024年度 活動レポート 第46号:静岡大学

2024年度活動レポート(一般公募プログラム)第46号 (Aコース)

高度国際頭脳循環によるグリーンサイエンス研究共同促進

静岡大学グリーン科学技術研究所
教授 二又 裕之さんからの報告

2024年12月18日〜24日、JSTさくらサインエスプログラムによりインド工科大学ハイデラバード校(IITH)のDebraj教授、大学院生6名(博士課程3名、修士課程3名)、合計7名を招へいし、交流計画テーマ「高度国際頭脳循環によるグリーンサイエンス研究共同促進」を実施致しました。ここに、その活動内容についてご報告致します。

【初日(12月18日)】

飛行機の日本到着が遅れ、JR浜松駅に23時過ぎに到着。疲れの中にも日本に来た興奮感が伝わりました。明日の開始時間を伝え、宿泊施設へ案内しました。

【2日目(12月19日)】

新谷教授による薬剤耐性遺伝子の探索と伝播に関する講演。昼過ぎまで熱心な討議が繰り広げられました。ランチは参加者全員で大学生協食堂にて。ベジタリアンの学生はポテトしか食べない一方で、唐揚げ定食やかけそばにチャレンジする学生もいるなど多彩でした。午後は、若手育成としてIITHと静岡大学修士院生による第1回研究発表会を実施しました。夕食は大学近くのカレー屋を訪れたのですが、IITHの皆さんが生き生きとなって食べている姿にホッとしました。

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発表会後にIITHと静大のメンバーで記念写真

【3日目(12月20日)】

二又による微生物群集を活用した環境浄化に関する研究を講演。微生物だけでなく電気化学や導電性鉱物に関する研究内容を交えつつ、多様な微生物種が生息する微生物生態系の活用や制御を紹介し、活発な議論が展開されました。午後からは、浜名湖に隣接し高度排水処理を行っている浜松市舘山寺浄化センターを見学。現場技術者と、日本語と英語が入り乱れながらの活発な意見交換となりました。薬剤をほぼ使用せずに最終処理水の透明度が1.5 m以上である事や処理技術の様々な工夫にも高い関心が寄せられました。Debraj教授および二又も水環境に関する研究を実施していることから、排水処理に関する専門家同士の意見交換ができ、浜松市側からも大変有意義な見学会だったとのコメントを頂きました。

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浜松市舘山寺浄化センターにて実際の浄化プロセスを学ぶ
IITHの学生はスマホの和訳ソフトを駆使して職員と討議しました。

【4日目(12月21日)】

IITHと静大修士院生の第2回研究発表会を実施しました。第2回目では静大生はポスター発表を実施。IITHの教員および学生から熱心な質疑が繰り広げられ、静大院生にとっても非常に有意義なものになりました。さらに、浜松の企業による英語での活動紹介を浜松市と共同で実施しました。紹介後、インターンシップに関して個別に質問するなどIITH院生の関心が高いことが伺えました。午後から日本の自然に触れる企画として浜松市にある鍾乳洞の竜ヶ岩洞を見学し、その後、交流会を実施しました。

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発表会後にIITHと静大のメンバーで記念写真

【5日目(12月22日)】

静岡大学名誉教授金原和秀博士による講演「世界における化学物質への対応:経済と環境保全について」を実施し、国際的な化学物質規制決定のプロセスや「分解されにくい物質は未来につながるリスクを生む」といった考え方などが紹介され、活発な議論が展開されました。環境中における化学物質のリスク研究を実施しているIITHの方々にとって有意義であったと思います。午後からは、Debraj教授による複合的廃水処理技術に関する講演を開催し、金原博士、新谷教授も参加の下、活発な議論が展開されました。また、Debraj教授、新谷教授と私の3人で今後の研究展開に関して議論し、水環境保全に関する基礎研究をベースとした社会実装を目指した国際共同研究資金の獲得、および、2025年4月に我々がIITHを訪問することを決定しました。

【6日目(12月23日)】

静岡大学共同利用機器センターゲノム機能解析部を訪問し、その取り組み、解析機器の説明を受けました。また、農学部の平井教授や鮫島准教授等の研究室を訪問しました。また、日本の歴史と自然に触れる企画第2弾として久能山東照宮と三保の松原へ赴きました。好天にも恵まれ、歴史的背景や建築物、また富士山、三保の松原、駿河湾の雄大さと美しさを堪能できました。その日の夜、静岡を後にして成田国際空港近くのホテルへ移動しました。

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静岡大学共同利用機器センターを見学

【最終日(12月24日)】

成田国際空港までお見送りしました。Debraj教授とはこれまで二国間共同研究を実施し、博士課程院生の指導を共同で行っています。今回のプログラムを通じて、日本の企業、文化・自然の魅力、また静岡大学の研究力も伝えることができ、また、お互いをより深く理解し得たことは、今後の共同研究を進展させる上で極めて有益でした。さくらサイエンスプログラムへの感謝を記し、本活動レポートのまとめと致します。

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三保の松原を見学