2024年度 活動レポート 第38号:岡山理科大学

2024年度活動レポート(一般公募プログラム)第38号 (Aコース)

先端医療材料を巡る技術体験 -基礎研究から応用まで-

岡山理科大学からの報告

 2024年10月20日から26日までの7日間、岡山理科大学ではフィリピン・マプア大学から学生7名と教員1名をお迎えし、国際青少年サイエンス交流事業「さくらサイエンスプログラム」を利用した研修を行いました。

 岡山キャンパスでは、再生医療や医薬品開発に使われるヒト幹細胞の培養をテーマに、試薬の準備から、滅菌・無菌操作の練習、細胞の播種と培養の過程や細胞の観察、さらには、細胞の剥離から継代までの操作を、実際に手を動かしながら体験しました。また、医療材料としてのタンパク質結晶に関する講義と、その後の実験では、実際にタンパク質の結晶を作成して観察する体験をしました。参加した学生たちが目を輝かせて取り組む姿が印象的でした。これらの体験は、フィリピンではなかなか得られない貴重なもので、どの学生も熱心に学び、時間の許す限り、たくさんの質問をしていました。

活動レポート写真1
実習風景:ヒト幹細胞の播種を行う学生たち

 さらに、大学の施設見学では、総合機器センター、サイエンスドリームラボ(機械工作センター)、恐竜学博物館に加え、好適環境水を使った魚養殖の研究施設などを見学して、最先端研究を支える研究施設とその設備について学びました。総合機器センターで核磁気共鳴装置を見学した際、引率の先生からは「来日の数日前に核磁気共鳴スペクトルについて講義をしたところだったので、実際の装置が見学できて、研究の話が聴けたことはとてもありがたかった。」とのお言葉をいただきました。また、学生たちからは熱意ある質問が多数寄せられ、説明を担当した教員も感心する場面がありました。

活動レポート写真2
総合機器センター見学:核磁気共鳴装置の説明を受ける学生たち

 10月24日には、今治キャンパスの獣医学部を訪問しました。向田昌司講師に、バイオマテリアルとしての細菌の可能性を追求する先生の最新の研究成果について講義していただいたり、オープンラボ形式の実験室や、最先端の研究設備を見学したりしました。分野を超えた知識が融合して、新しい成果を生み出す実験室の環境に、学生たちは「こんな実験室で自分たちも実験したい!」と感動していました。

 プログラムの最終日には、平野博之学長を表敬訪問させていただきました。学生たちは「貴重な実験体験ができたこと、理大の最先端研究施の設備に触れることができたことなどが、とても素晴らしい経験となった」と感謝の気持ちを伝え、学長からも大学院進学や留学生制度に関する具体的なお話をいただきました。

活動レポート写真3
表敬訪問:岡山理科大学平野博之学長(左から2人目)と記念撮影

 午後には、マプア大学と本学の学生が昼食を共にしながら、今後の教育・研究を通じた国際交流の継続に向けて意見交換が行われました。意見交換会には、マプア大学から本学の大学院博士課程に進学してこられた留学生1名、中国人留学生1名、さらには、昨年度、マプア大学で開催した研究会で、研究発表をした本学大学院生2名も含んだ、8名の大学院生も参加しました。意見交換会に続いて行った研究交流会では、意見交換会に参加した学生らによる研究紹介が行われました。研究交流会には、本学の教員、スタッフ、さらには学生たちも多数参加してくださって、交流会が非常に盛り上がったことは、我々としても大きな喜びでした。

活動レポート写真4
意見交換会風景:意見交換会から研究交流会へと熱心な議論が続きました。

 研修を締めくくる成果報告会では、マプア大学の学生全員が今回の学びを発表しました。

 現在、今回の研修に参加したマプア大学の学生2名が本学博士課程への進学を希望しており、関係部署と連携して、フォローアップをしています。また、研修で実験助手を務めた本学の大学院生がさらなる英語力向上を目指し、来年2月にマプア大学で開催されるイングリッシュキャンプへの参加を決めるなど、今回の交流の輪がどんどん広がっています。今回の研修を通じて、岡山理科大学とマプア大学の絆がさらに深まり、今後の国際交流がより一層充実することを確信しています。

活動レポート写真5
成果報告会終了後に本日の発表者と撮影した集合写真