2024年度活動レポート(一般公募プログラム)第37号 (Bコース)
長期月面探査を実現するためのレゴリスハンドリング技術開発を軸とした国際プロジェクト発足
京都大学からの報告
京都大学では、さくらサイエンスプログラムの支援を受けて2024年11月10から11月30日までの日程で、ドイツ航空宇宙センター(German Aerospace Center)の博士課程学生1名を大学院工学研究科機械理工学専攻に招へいし、月面に存在するレゴリス粒子をハンドリングする技術についての共同研究を行いました。
【到着~研究開始】
招へい者は11月10日に関西国際空港に到着し、電車で京都市内へ移動、宿泊施設にチェックインしました。翌日からさっそく、京都大学桂キャンパスで受け入れに関するオリエンテーションや研究室見学ツアーを行いました。その後、双方の最新の研究について情報交換を行い、滞在期間中の研究活動についてディスカッションを行いました。
【滞在期間中の研究交流】
本共同研究では垂直振動粉体ポンプシステムを利用した月面に存在するレゴリス粒子のハンドリングをテーマにしています。招へい者もドイツの研究機関においてレゴリスを分離する研究に取り組んでおり、実験装置や材料の取り扱いに慣れていることもあって、比較的スムーズに実験にとりかかることが出来ました。限られた時間でしたが、まとまった成果を得るために熱心に取り組んだことで、期待していた以上の研究成果を上げることができました。追加での試験も行った上で成果を取りまとめて論文投稿することを計画しています。また、研究室のゼミで招へい者による研究発表を行ってもらい、全体でのディスカッションも行いました。その後には、研究室の学生達も含めた交流会を行っており、招へい者だけでなく日本人学生達にとっても貴重な経験となりました。
【研究のまとめ~帰国】
滞在期間の終盤では、滞在期間中の研究結果を取りまとめ、その成果の論文投稿や引き続き共同研究を行うことで合意しました。11月30日に受け入れ教員とともに関西国際空港へ向かい、無事に帰国の途につきました。帰国後も招へい者と連絡を取り合いながら連携して本研究課題に取り組んでいます。
【プログラムを終えて】
研究活動だけでなく、日本側の教員・学生達との交流の場を多く設けるようにしました。その結果、日本人学生達も英語で積極的にコミュニケーションを取ろうとしている様子が見受けられ、受け入れ側にとっても充実したプログラムにすることが出来ました。コミュニケーションがスムーズに出来たこともあって、双方の研究に関する相互理解も進み、今後の共同研究を発展させるための基盤を築くことができたと思います。期間が限られているのもあり、非常にタイトなスケジュールでしたが、招へい者も日本人学生達と夜遅くまで残って実験を進めたこともあり、重要な成果をあげることが出来ました。引き続き招へい者・送り出し機関と連携しながら国際共同研究を継続していきたいと考えています。最後に、このプログラムを実施するにあたりご尽力いただいたJSTさくらサイエンスプログラム関係各位と、京都大学事務職員の皆様に感謝申し上げます。