2024年度活動レポート(一般公募プログラム)第32号 (Bコース)
隠れた飢餓解決に向けた生物学的栄養強化に関する共同研究活動
東京大学からの報告
インドのラジャスターン中央大学のSanjib Kumar Panda教授と彼の研究室の学生を11月10~20日の間、東京大学大学院農学生命科学研究科応用生命化学専攻植物栄養・肥料学研究室で受け入れた。「隠れた飢餓解決に向けた生物学的栄養強化に関する共同研究活動」と題して、作物の元素分析を実施し、手法やデータの解析方法を習得し、将来的な共同研究への展開を目指したプログラムを実施した。
到着後、研究室のゼミにて自己紹介、オリエンテーションを行ったのち、翌日から早速、実験を開始した。実験においては、当研究室に博士研究員として在籍しているPanda教授の教え子であり、現在当研究室にポスドクとして在籍しているRajさんに協力していただいた。微量天秤を用いた秤量、ドラフトでの硝酸分解を行ったのち、希釈してICP-MSと呼ばれる元素分析装置を用いて多元素分析を実施した。4名の学生は熱心に実験に取り組み、最終日には、Rを用いた解析や作図を行い、結果について議論した。研究活動を優先したため、インド側学生の研究紹介が最終日になってしまったが、それぞれから、研究を紹介していただき、当研究室から質問が複数出るなどし、議論は盛り上がった。最後には修了式を行った。
上記の研究活動の合間を縫って、静岡大学の一家准教授を訪問した。一家博士の研究室にはPanda教授が以前数ヶ月滞在したこともあり、ひさしぶりの再会となった。博士課程の学生から、お茶の成分のゲノミック予測についての研究紹介やラボツアー、キャンパスツアーをしていただき、最新の研究に触れることができた。
土曜日は、お茶の博物館を訪問した。JRの金谷駅から1.2kmにもかかわらず、所要時間が25分と若干の違和感を覚えつつ駅から歩くと、数分でその原因が判明した。駅から博物館までのほぼ全ての行程が急峻な坂道であった。若干大変ではあったものの、お茶畑を左右に眺めつつのハイキングは良いリフレッシュになった。博物館は、牧之原のお茶畑の真ん中に位置し、世界のお茶の歴史や製造工程などを学ぶことができ、お土産を買うなど楽しむことができた。翌日は、当研究室の学生と東京視察を行った。一日乗車券をフルに活用し、浅草→お台場→渋谷を回るというかなりタイトなスケジュールではあったものの、楽しんだようである。
最終日は、私のバングラデシュ出張の出発日と同じであったため、羽田空港に一緒に向かった。すっかり日本の満員電車にも慣れた様子で、何事もなく無事羽田空港に到着し、帰国の途についた。
Panda教授によるとインドの若い人の海外志向は、強くないとのことである。今回のような機会が与えられることにより、海外に行く機会が与えられたのは良いことだと言っていただいた。今回にとどまらず、今後も引き続き交流を続け、より多くのインド人が日本に興味をもち、来日してもらうことを期待する。なお、今回来日した学生は全員、日本はもとより海外に行くのが初めてとのことであり、初海外を楽しんでいただけたようである。
最後に本プログラムに協力していただいた方に感謝して本稿を閉じたいと思う。