2024年度活動レポート(一般公募プログラム)第29号 (Aコース)
脱炭素社会を目指す水素・エネルギー研究を通した若手人材の国際頭脳循環
九州大学からの報告
2024年11月16日から11月22日までの期間、JSTさくらサイエンスプログラムの一環として、天津大学から学生7名と教員1名が九州大学を訪問し、研究室見学やプレゼンテーションを通じた研究交流を行いました。この交流は、九州大学と天津大学の学術的関係を深め、両校の学生が互いに知識を広げ、研究分野での協力を促進することを目的として実施されました。
【事前オリエンテーション】
訪問前の1週間前にオンラインでのオリエンテーションを実施し、参加者はプログラムの概要や活動内容を事前に理解しました。また、各学生の研究発表に向けた準備も行われ、スムーズな交流を図るための体制を整えました。
【ワークショップ&懇親会】
九州大学および天津大学の学生が自身の研究内容を一人10分程度で発表し、その後5分間の質疑応答を行いました。日中両方の学生から積極的な質問が寄せられ、活発な意見交換が行われました。その後の懇親会では、学生および教員間で親睦が深まりました。
【研究室見学と最先端技術の体験】
天津大学の学生たちは以下の研究室を訪問し、最先端の研究に触れる機会を得ました。特に、これらの現象を理解するための測定手法の原理について説明を受け、さらに実際の測定実験を通じて理解を深めました。
■河野研究室
熱物理に関する研究紹介と熱物性の測定実験が行われました。学生たちは最新の実験装置に触れながら説明を受け、熱物性測定への理解を深めました。
■高橋・李・手嶋研究室
ナノスケール相界面現象に関する最先端の研究の説明を受け、それらを可視化するための装置についての説明も受けました。また、博士課程の学生とナノメートルオーダーでの熱輸送や物質輸送に関して活発な意見交換が行われました。
■宮崎研究室
ナノテクによる熱制御に関する研究紹介とそれらに必要な熱物性測定(熱伝導率、波長選択的ふく射特性)に取り組みました。学生たちは装置に触れながら担当学生のレクチャーを受けました。
■伊藤研究室
燃料電池や水電解の最新の研究に関して説明を受け、電気化学的に反応に寄与する表面積の測定手法の原理を学び、実際に測定を行いました。学生たちは、エネファーム関連研究についても意見交換を行いました。
■森研究室
沸騰、二相流および高温蒸気急速生成など熱に関する実験装置を見学しました。特に高速度IRカメラを用いて沸騰が起きている伝熱面上の温度変化を実際に測定し、沸騰現象について理解を深めました。
■濱本研究室
吸着実験などのデモンストレーションを体験しました。学生同士での活発な意見交換が行われました。
これらの活動を通じて、天津大学の学生は九州大学の最先端研究に触れる貴重な機会を得ると同時に、九州大学の学生にとっても異文化の背景を持つ参加者に自分の研究を紹介するという貴重な経験を積むことができました。
本プログラムが成功裏に実施されたのは、天津大学および九州大学の学生と教員の皆様のご協力のおかげです。この場をお借りして、心より深く感謝申し上げます。また、本プログラムを支援してくださった国立研究開発法人 科学技術振興機構 さくらサイエンスプログラム推進本部の皆様に対し、厚く御礼申し上げます。今後も、さくらサイエンスプログラムを通じた学術交流がさらに一層促進されることを祈念いたします。