2023年度活動レポート(一般公募プログラム)第240号 (Aコース)
日本企業の国際経営とアジアにおけるビジネス・イノベーション
桜美林大学からの報告
2024年3月3日~3月9日、Technological Institute of the Philippines(フィリピン)、Entrepreneurship and Management Processes International(インド)から、大学生、教員、計10名を招へいしてA.科学技術体験コースのプログラムを実施した。本プログラムは、グローバル・マーケティング、グローバル経営などを専門とする桜美林大学ビジネスマネジメント学群所属の岩垂好彦准教授が指導にあたり、プログラム全体のデザインやコーディネーションを担当した。
「日本企業の国際経営とアジアにおけるビジネス・イノベーション」をテーマとし、日本的経営の観点を踏まえたアジア発イノベーションのトレンドや成功事例、グローバル市場での国際経営戦略の構築や実践方法などに注目した。海外参加学生たちは、企業関係者による講演並びに企業見学を通じて、日本の企業やビジネス文化について深く理解し、グローバル市場での国際経営戦略の構築や実践方法を学んだ。さらに、フィリピン、インドそして日本の学生が交流することで、クロスカルチャーなコミュニケーションやリーダーシップの要件も学ぶことができた。これらのスキルや知識は、将来のキャリアにおいて大きなアドバンテージとなることが期待される。
【2日目】
桜美林大学の坂田先生ご登壇いただき、アントレプレナーシップとベンチャー投資についてレクチャーしていただいた。日本の事例から出発し、各国の現状や課題、今後の展望に関する意見や質問、提案について学生たちは活発に意見交換をした。
【3日目】
「持続可能な社会のために新たな価値を創り出す」という理念で世界各地に(特にアジアや南米)海外業務を展開しているKOMATSUの本社を訪ねた。KOMATSUの担当者にコマツの歴史・経営理念・企業価値・海外展開策略を講演いただき、学生たちにもいろいろ考えさせた。KOMATSUは、インドとフィリピンでよく耳にする会社のようで、参加者は、本社にまさか訪問できるのかと嬉しく思うと同時に、企業求人情報についてもかなり関心を寄せ、多くの質問をした。その後、岩垂先生より「日本企業の国際展開と産学連携」とのテーマの講演をいただき、グループワークを行った。グループワークにおいては、ビジネス・イノベーションに関わる知識の融合を図るとともに、各国共通のビジネス課題の解決に向けた議論が盛んだった。
【4日目】
科学未来館の訪問の後、アイシーネット株式会社のシニアコンサルタントの原様にご登壇いただき、学研グループの国際事業と日本企業の人材ニーズについて講演いただいた。人手不足が深刻化する日本に対する現状と原因、またそれぞれの対策など、多くの示唆を得ることができた。
【5日目】
「食文化の国際交流をすすめる」との経営理念を実践しているキッコーマン株式会社を訪問した。代表取締役専務執行役員(国際事業本部長)である茂木修様にキッコーマン株式会社の歴史や海外展開戦略を説明いただいた。キッコーマンは、キッコーマンしょうゆを「グローバル・スタンダードの調味料にする」ために、日本と北米、欧州の先進国市場でトップシェアを固めながら、南米やアフリカ、インドなど新興国市場への浸透を図って、世界にとって存在意義のある企業でありつづけることを目指している。参加者もしょうゆから日本文化の魅力を感じ、日本の企業やビジネス文化について深く理解し、グローバル市場での国際経営戦略の構築や実践方法を学んだ。
【6日目】
花王株式会社ESG経営部門のESGコミュニケーション担当部長の大谷様に「花王のESG経営とイノベーション」について説明いただいた。KAOはインドやフィリピンでも人気ということもあり、海外学生の反応が良かった。
最終意見交換では、グループごとに立案したテーマについて各自作成した資料を用いて発表し、参加した日本学生からフィードバックを行った。日本企業の国際経営とアジアにおけるビジネス・イノベーションに関する議論が多面的・多角的に行われ、イノベーティブなアイデアが生まれ、研修の集大成に相応しい発表となった。
参加をした招へい学生・教員の事後アンケートでの満足度は非常に高く、留学や就職で日本に戻りたいといった声が多く寄せられた。今後の再来日や相互の学生交流、研究交流に繋がることを強く期待している。