2023年度 活動レポート 第226号:熊本県水俣市

2023年度活動レポート(一般公募プログラム)第226号 (Aコース)

水俣病を正しく理解し、環境問題、地域社会の持続可能性を考える

熊本県水俣市からの報告

 水俣市では、2024年2月19日から2月24日までの6日間、ベトナム国家大学ハノイ校日越大学から10人の大学生等を招へいし、さくらサイエンスプログラムによる研修を行いました。
 水俣市全体を学びのフィールドと見立て、国、熊本県、市民、市内企業など様々な方々から講師などのご協力をいただきました。参加者は水俣病の実情を正しく理解するとともに、水俣病の教訓を活かした環境への取り組みや、地域の再生・活性化への取り組みを学び、未来に向けた持続可能なまちづくりについて考えました。

■研修1日目:2月19日

 福岡空港到着後、水俣市に移動し、水俣環境アカデミアでオリエンテーション、開講式を行いました。その後、水俣環境アカデミア・古賀所長が「SDGs未来都市水俣市の概要、水俣環境アカデミアについて」講義を行いました。

■研修2日目:2月20日

 午前は水俣市立水俣病資料館を見学し、語り部講話を聴講しました。
 午後は、熊本県環境センター 篠原館長に「水俣湾公害防止事業」の講義をいただきました。エコパーク水俣(水俣湾埋立地)を見学、埋め立てられた土地の広さから被害の大きさを実感し、水俣病犠牲者慰霊の碑の前ではそれぞれが犠牲者へ思いを寄せました。その後、国立水俣病総合研究センターへ移動し、同センターの概要、毛髪水銀濃度の測定、リハビリなどについて研修を受けました。

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水俣病資料館見学

■研修3日目:2月21日

 みなまたエコタウンに立地している株式会社アール・ビー・エス(し尿処理リサイクル事業)、株式会社田中商店(びんのリユース事業)、アクトビー・リサイクリング株式会社(家電リサイクル事業)を見学し、環境関連技術について学びました。

 その後、熊本県立水俣高等学校を訪問。高校生が用意したSDGsクイズでグループ対抗戦を行った後、茶華道部による茶道のおもてなしを受けました。一部の高校生は、昨年10月に髙岡水俣市長とともに日越大学を訪問しており、その際に交流した学生もいて、互いに再会を喜んでいました。

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水俣高校生との交流

■研修4日目:2月22日

 水俣市環境クリーンセンターを訪問し、「ごみの高度分別」について学びました。その後、水俣ダイビングサービスSEA HORSE森下代表から「水俣湾の再生」について講義を受けました。
 午後は、「やさい工房ぷらるーと」にて水耕栽培事業について学んだ後、水俣浮浪雲工房を訪問して紙漉きや草木染を体験しました。

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やさい工房ぷらるーと見学

■研修5日目:2月23日

 水俣市久木野ふるさとセンター「愛林館」を訪問、フィールドワークをしながら、里山の保全について説明を受けました。
 午後からはグループワークを行い、本研修を通じて学んだことを学科ごとに発表し、研修を振り返りました。

 閉講式では、各研修生に対し、古賀所長を通じて国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)より修了証が授与されました。研修を終えた翌日、無事帰国の途につきました。

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水俣市久木野ふるさとセンター「愛林館」にて

 参加者からは、「コミュニティが連携した環境への取り組みは素晴らしい。」「ごみの分別の種類がたくさんあって、感心した。」「訪問先の皆さんが温かく迎えてくれてうれしかった。」などの感想が聞かれました。