2023年度 活動レポート 第213号:札幌日本大学高等学校

2023年度活動レポート(一般公募プログラム)第213号 (Aコース)

バングラデシュ高校生との循環型社会の創造につながる共同研究体制構築に向けての交流

札幌日本大学高等学校からの報告

 2024年1月28日~2月3日、バングラデシュの中高一貫校ラジュク・ウッタラ・モデル・カレッジ(RUMC)の高校生6名と教員1名を招へいし、科学技術体験コースのプログラムを実施しました。

■オンライン交流

 北海道大学大学院で学んでいるバングラデシュ留学生および日本人大学院生の協力を得て、9月から合計4回、環境問題について学び、来日時に行う環境問題に関するパネルディスカッションに向けての議論を行いました。

■本校での授業体験、文化交流

 各教科やバディのクラスに分かれて普段の授業に参加したり、本校の学校行事(芸術鑑賞会)に参加したりしました。国際バカロレアのHistoryのクラスでは、「アジアの植民地からの独立」の分野の授業に参加してもらい、グループで議論しながら互いの認識を共有することができ、生きた学びとなりました。

 放課後は、海岸で採取しておいたプラスチックの破片を使ってアート作品をつくりました。その過程をショートビデオに編集して、海洋プラスチック問題の解決策を提案する最終日に行うパネルディスカッションで使用しました。

活動レポート写真1
マイクロプラスチックでのアートづくり(パネルディスカッション準備)

■本校での科学交流

 SSHの1年生との科学交流会では、バングラデシュの踊りや歌を披露してもらい、その後、被子植物の種子散布方法について学んだ後、サイエンスチャレンジという企画で科学交流を行いました。具体的には、ティッシュ1枚と米粒3粒で種子に見立てた模型を作製し、2メートルの高さから落とした時の落下時間の長さを競いました。パラシュート(冠毛で散布する種子)を作る班や平面型(翼で散布する種子)を作る班など、6つの班がそれぞれ試行錯誤して作ったサンプルを試しました。優勝はパラシュート型でティッシュの面積を有効に使った班が3秒台後半の記録で優勝しました。サンプル作製中は目的を共有することで英語のコミュニケーションも活発になる様子が見られました。

 SSHの2年生とは、課題研究交流を行いました。片言の英語や身振り手振りの生徒もいましたが、英語で課題研究の内容を説明し、質疑応答を行いました。

活動レポート写真2
サイエンスチャレンジの様子

■循環型社会構築の取り組み事例を体験学習

 イノベーションを生み出すためのヒントを学び、今後、循環型社会創造に繋がる共同研究を計画するうえでの重要な位置づけとして、北海道大学環境科学院にバングラデシュ高校生と本校のバディ計13名で訪れました。午前中は、講義と実習により、水に含まれるイオンと同位体の含有率と食物連鎖の関係について学びました。午後は、タイ国で実施しているSATREPS事業の紹介の後、浮き草の根に付着する細菌の抽出や培養について学びました。オールイングリッシュの取り組みながらも丁寧な説明で高校生たちも理解しており、質疑も盛り上がりました。
 夕方は、バングラデシュの高校生を励ますために、北海道大学大学院で学んでいるバングラデシュ留学生が集まってくださり、留学についての話を聞くことができました。

活動レポート写真3
ウキクサに共生するバクテリアの培養実習
活動レポート写真4
北大環境科学院での記念写真

■北海道インターナショナルサイエンスフェアおよび未来創造探究フェスティバルの参加

 最終日は、2つのイベントが本校で開催されました。午前中は北海道インターナショナルサイエンスフェア(札幌啓成高校主催)。全道の高校生が集まり科学研究を英語でポスター発表して、質疑を行います。バングラデシュの生徒は高い英語能力を活かして積極的に交流していました。日本人の生徒も大いに刺激され、驚くほど積極的に英語で質疑を行っていました。

 午後は未来創造探究フェスティバル(本校主催)に参加しました。これは自然科学だけでなく人文社会科学分野の探究テーマもポスター発表(言語は日本語)を行います。その後、札幌日大高校(本校)、札幌啓成高校および両校がそれぞれ招へいしたバングラデシュ、インド、マレーシアの高校の生徒が登壇してパネルディスカッションを行い、海洋汚染の原因の一つであるプラスチックについての調査報告や高校生としてできる解決策の提案などを行いました。300名を超える全道の生徒、北海道大学の根岸准教授をはじめとして多くの講師の先生にもコメントをいただき盛況のうちに終わりました。
 夕方は、オンライン交流から交流を行ってきた本校生徒と意見交換会を行い修了証の授与を行いました。

活動レポート写真5
パネルディスカッション

■総括

 今回の招へいにより、本校、RUMCおよび北海道大学との連携関係が強化され、次年度のウキクサのマイクロプラスチック取り込みに関する共同課題研究の道筋が見え、将来、ウキクサのタンパク質含有量および付着するバクテリアに関する研究へと発展させていく構想を描くことができました。

 最後に、参加者らに熱意を持って講義や激励をしてくださった大学の先生方や留学生の方々、そしてこのような機会を与えてくださったJSTさくらサイエンスプログラムに、心より感謝申し上げます。