2023年度 活動レポート 第210号:千葉大学

2023年度活動レポート(一般公募プログラム)第210号 (Aコース)

ASEANの大学院生とのグローバル協働ワークショップ

千葉大学教育学部
教授 下永田 修二さんからの報告

 2024年2月7日~2月13日、タイ、インドネシアから大学院生10名を招へいし、日本の科学技術を核にSDGs解決を目指すグローバル協働ワークショップを実施した。

【事前オンライン交流】

 1月31日、オンラインによる事前オリエンテーションを行った。ASEAN、アジアの参加大学から28名が参加し、来日後に実施するプログラムを紹介し、情報共有を行った。
 次に、2月1日、招へい者と海外交流に興味を持つ千葉大学学生が参加し、オンライン学生交流を行った。参加したすべての学生がパワーポイントを用いて自分の専門等について自己紹介を行い、招へい者、千葉大学学生ともに、来日前にお互いを知る良い機会となった。

【2月7日】

 招へい者が千葉大学に到着し、ガイダンスと自己紹介を行った。その後、千葉大学学生も参加し、招へい者とともにアイスブレーキングとしてマシュマロチャレンジを行った。これはチームビルディングプログラムであり、パスタとマシュマロ、マスキングテープを用いて塔を作り、高さを競うものである。千葉大学学生と招へい者が一緒になってチームをつくり、チーム内で話し合いながら何度も試行錯誤を重ね、塔を作製していた。パスタは思った以上に脆弱であり、高い塔をつくる上で、工夫が必要であり、コミュニケーションをとりながら競い合うことで打ち解けていった。この後、学内にあるアエレカフェでウエルカムパーティを行い、食事をとりながら親睦を深めた。

活動レポート写真1
マシュマロチャレンジ

【2月8日】

 午前のプログラムとして辻耕治教授による遺伝子工学に関する実験講座「基本から先端技術への理解」が行われた。その後、昼食では千葉大学学生とともに日本食体験を行った。午後は、リモートセンシングセンターのヨサファット・テトォコ・スリ・スマンティヨ教授の研究室を訪れ最新鋭のレーダーシステムを搭載したドローンの説明やその研究活動についての講義を受けた。招へい者は実際に実験を行い、間近で最先端の科学に触れ、大変興味深く活動していた。

活動レポート写真2
基本から先端技術への理解(実験の様子)

【2月9日】

 野村純教授と松井聰教授が引率し、招へい者と千葉大学学生が佐倉市にある国立歴史民俗博物館、佐倉武家屋敷を訪問した。様々な歴史資料の見学から体験コーナーもあり、招へい者は日本の歴史、文化に触れる良い機会となった。

活動レポート写真3
国立歴史民俗博物館での日本の歴史、文化および習俗の学習

【2月10日】

 千葉大学の学生とともに最新科学のトピックについてそれぞれの専門の立場から議論を行うとともに、これを教育に展開する方法について教材開発を含め検討した。また、科学教育セミナーへ参加し、各国の先進的な科学教育の取り組みについて学び、意見交換が行われた。

【2月11日】

 各国の招へい者のデータサイエンス、理学、地学、工学、農学、社会科学、教育学などの専門の立場からグローバルな科学の取り組みについて発表を行うリサーチセッションを10部屋に分かれて行った。日本の高校生から大学院生も発表を行い、多領域にわたる新たな取り組みについて意見交換が行われた。
 午後はSDGsワークショップに参加し、日本の高校生、千葉大学の大学生・院生、またASEANの研究者らとともにSDGsの解決に向け、どのような課題があるのか、どのように取り組むべきかについて、それぞれの専門性を活かしながら討議し、ポスター制作を行った。その後、班ごとにこの成果を発表した。

活動レポート写真4
SDGsワークショップ

【2月12日】

 パラスポーツからSDGsを考える講義を行った。ガイドランナーのサポート体験やパラスポーツボッチャを実践しながらダイバーシティについて学ぶ機会となった。
 大和政秀教授による「成長と細胞周期のメカニズム」に関する講義では、植物細胞の有糸分裂像の観察が行われた。普段教科書等でみる内容のものを自分自身の手で標本スライドを作製し、観察する経験は招へい者にとって興味深いものであった。

活動レポート写真5
パラスポーツからSDGsを考える(ガイドランナー)

【2月13日】

 4チームに分かれて、ファイナルプレゼンテーションが行われた。動画編集を多く取り入れ、このプログラムで学んだ内容を映像としてまとめて発表をすることで、招へい者と日本人学生が友情を深めていた。この後、フェアウエルパーティーを行い、名残を惜しみながら帰国の途に就いた。

 なお、プログラム後もLINEなどSNSを通じて活発な情報交換が参加者間で行われており、主催者としては、千葉大学学生を含む若者のネットワークづくりに貢献することができた。このような貴重な機会を提供し、支援してくれたJSTに深く感謝したい。