2023年度活動レポート(一般公募プログラム)第208号 (Aコース)
日本におけるプラスチック類を含む一般廃棄物の処理体系
豊橋技術科学大学 建築・都市システム学系
教授 井上 隆信さんからの報告
豊橋技術科学大学では、「さくらサイエンスプログラム」の支援を受けて、2024年1月22日~28日の1週間、交流協定を結んでいるインドネシアのディポネゴロ大学から計10名(教員1名、大学院生3名、大学生6人)を招へいし、科学技術体験および交流を行った。今回は、「日本におけるプラスチック類を含む一般廃棄物の処理体系」というテーマの下にプログラムを実施した。
<オリエンテーション>
1月16日に、オンラインによる顔合わせとガイダンスを行った。招へい時の注意事項説明を含めたオリエンテーションを実施主担当者が行うとともに、日本や滞在先である豊橋の紹介や日本入国や日本滞在期間中の注意事項等について学生が、学生の視点からの説明を実施した。
<1日目>
プログラム初日、アシスタント学生と実施主担当者が、中部国際空港に到着した計10名の出迎えを行い、無事到着を確認し、豊橋技術科学大学のサテライトオフィスまでの移動をサポートした。その後、サテライトオフィスでスケジュールなどの確認をした後、同じビル内にある豊橋市まちなか図書館の見学、豊橋市のごみステーションにおいて、市民のごみの排出方法について説明を行った。
<2日目>
午前に、実施主担当者の研究室に所属している学生による研究紹介を行った。午後は日本における家庭から排出される廃棄物の処理・処分方法に関する講義を行った。招へい者らから数多くの質問も頂き、日本で行われている研究や廃棄物の知見を深めることができた。インドネシアでは、ほとんどの廃棄物は分別なく収集し埋め立てられている。そのため、ごみを分別して処理していることや曜日ごとに回収するごみの種類が決められていることに対して驚いていた。
<3日目>
午前は、招へい学生が、事前に分けた3グループにより、事前に用意してきたインドネシアにおける環境問題の事例紹介を行い、改善に向けて両国の学生による議論を行った。事例紹介を通して日本人学生はインドネシアにおける現状や何が原因となっているかなど理解を深めた。午後には、豊橋市のごみ焼却場、リサイクルセンター、埋立地の見学を行った。インドネシアには、整備されているごみ埋立地が少ないことから、招へい学生は埋立地にごみが見当たらないことに驚いていた。
<4日目>
1日かけて衣浦港3号地廃棄物最終処分場へ移動し見学を行った。インドネシアにはオープンダンピングという、ごみをそのまま陸地に廃棄する方法が一般的である。そのため、廃棄物を海に埋め立て新たな陸地として活用する日本の廃棄物処理方式に大きな関心を寄せていた。事後のアンケートにおいても、この施設見学が最も印象的だったとの回答が多かった。
<5日目>
午前に、インドネシアにおける家庭から排出される廃棄物管理方法の現状について招へい者が説明を行った後に、両国の学生による改善のための議論を行った。最終的には、日本のように焼却処理による減容化と、海面も含めた埋立が有効であるとの結論になった。午後は、これまでの成果発表会を行い、招へい学生が一人ずつ成果や感想などについて発表を行った。発表会後には、懇談会を行い、本学の研究以外にも各国の異文化交流を通して親交を深めた。
<6日目>
マイクロプラスチックの分析のための前処理方法を実際に使用する器具などを用いて説明を受けた後、招へい者ごとにそれぞれ事前に用意したサンプルを用いて、電子顕微鏡による大きさの計測、FTIR(フーリエ変換赤外分光法)による組成分析を行った。午後は中部国際空港に移動し、翌朝に帰国した。
幸いにもプログラム期間中に事故や病気などはなかった。招へい学生らは、研究や講義に対して熱心であり、自分たちが日本の技術を持ち帰って活用しようと自主的に学ぼうという姿勢が感じられた。また、アシスタントとして参加した学生も国際意識の向上につながる良い機会だった。また最後の成果発表では、これからも研究やプロジェクトなど継続的な交流を深めていきたいと述べていた。本招へいにはJSTおよび豊橋技術科学大学の多くの方のお世話になりました。感謝申し上げます。