2023年度 活動レポート 第207号:奈良女子大学

2023年度活動レポート(一般公募プログラム)第207号 (Aコース)

環境エネルギー分野での日中間の学術交流と人材育成

奈良女子大学理学部・化学生物環境学科・化学コース
准教授 本田 裕樹さんからの報告

 2023年12月21日から12月27日にかけ、中国・武漢の華中科技大学からポスドク1名、大学院生8名、引率教員1名を奈良女子大学理学部に招へいし、学術交流プログラム「環境エネルギー分野での日中間の学術交流と人材育成」を実施しました。本プログラムは、持続可能な発展や地球規模の課題解決を目指す環境エネルギー分野の研究に取り組む学生・ポスドクを招へいし、環境課題に取り組む企業施設の訪問や、日中の学生・教員間の学術交流を通して、次世代の日中のリーダーと成る人材の育成に向けた新たな交流のきっかけとしたいという思いで開催しました。

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本学記念館前での集合写真

 企業施設訪問として、奈良県天理市のシャープミュージアムを訪問しました。創業時から続く数々の「世界初」「日本初」の製品群の紹介から、現在の最先端の取り組みまで盛りだくさんの内容でした。シャープミュージアムでは案内員の方が英語で対応してくださいました。参加学生たちは、移動予定時間のぎりぎりまで先端技術に関して大変積極的に質問しており、熱心な学生の様子からも実り多い施設訪問になったようです。

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シャープミュージアムで熱心に展示物を見学する様子

 学術交流の取り組みとしては、教員からの研究内容に関する講義、招へい学生の研究テーマに関する口頭発表セミナー、日本側学生を交えたポスター発表会を開催しました。
 奈良女子大学の会議室で、教員からの特別講義(環境課題への取り組みに関する研究紹介)、中国学生による口頭発表を実施しました。招へい学生たちは来日前にあらかじめ自身の研究内容を15分程度のスライドにまとめており、英語での発表と質疑応答を行いました。母国語以外での発表はかなりの労力がかかり、また緊張も大きかったと思います。教員を相手に堂々と発表をこなしており、中国の大学生・大学院生のレベルの高さや研究への熱意にはこちらも改めて大きな感銘を受けました。

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中国学生からの英語での研究発表とディスカッションの様子

 また、日本側の学生や教員を含めたポスター発表を実施しました。ここでは本学の理学部の教員も参加し、中国側教員やポスドク、学生との交流を通して、新たな連携に向けたきっかけづくりができたと思います。日本側の学生は、当初、英語でのコミュニケーションに不安を感じ神経質になっていたようですが(指導担当の報告者自身も少し不安でした!)、実際にポスター発表がはじまると若い学生同士で期待以上に活発に交流をしてくれました。参加した日本側学生に感想を聞くと、当人としても自分が想定していた以上に英語での交流ができたことに自信と満足感を得たようでした。中国側学生だけでなく、本学学生もこのプログラムを通して、研究や学習のグローバル化に向け一層と意識が高まったようでした。中国の学生と日本の学生が相互に刺激しあえたことは、本プログラムの目的であった次世代を担う人材育成へとつながります。実施担当者として大変うれしく思いました。

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研究交流会(ポスター発表)の様子。本学学生や理学部教員も交えて活発な討論を行うことができました

 また、本学は徒歩圏内に奈良の大仏といった世界遺産がある恵まれた立地ですが、各プログラムの合間には招へい学生達は奈良を散策し、日本の文化体験も楽しんでいます。オンライン交流にはない、オンサイトならではの貴重な体験をしてくれたことと思います。日中双方の学生たちに本プログラムがよい思い出として残り、次世代でも日中間の友情と理解を深めていって欲しいと思います。

 最後に、送出し機関の引率教員と招へい側の実施主担当者は同世代で10年来の友人であり、以前は同じ研究室でポスドク研究員として机を並べていました。お互いに大学で教員の立場になり、日中の交流や後進の学生の育成に貢献したいという思いから、今回のさくらサイエンスプログラムへの申請につながりました。このような交流プログラムを実施できたことを実施担当者として大変うれしく思います。さくらサイエンスプログラムならびに関係者の皆様に深く感謝申し上げます。

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