2023年度 活動レポート 第206号:福井大学

2023年度活動レポート(一般公募プログラム)第206号 (Cコース)

福井県地場繊維産業を通じた体験・国際相互交流
~東アジアの若者たちと共に繊維の未来を紡ぐ~

福井大学からの報告

1.はじめに

 2024年1月、福井大学工学研究科では、台湾・マレーシア・インドネシア・ベトナムの6大学から15名の若い学生たちを迎え、繊維産業の未来を共に考える招へいプログラムを展開しました。この国際交流プログラムは、将来の繊維産業を牽引するグローバル人材の育成と、異文化間の理解を深めることを目的としています。

2.プログラムの概要

 このプログラムでは、参加者の繊維産業における幅広い知識と実践的技術の習得を目的とし、工学、ナノテクノロジー、バイオテクノロジー、化学など多様な技術的アプローチを経験する機会を提供しました。参加者は、講義や実習、企業見学、そして文化交流活動を通じて、繊維の歴史、現状、そして将来性について深く学びました。

 まず初日には研究交流会を開催しました。ここで参加者と本学の学生は自らの研究を発表。このポスターセッションでは、参加者間のアイスブレイクとして有意義な議論が行われました。プログラムの中心となる講義や実習では、教員との交流を通じて研究の最先端を体験。バイオ技術やナノテクノロジーをテーマにした実験を通して、繊維が持つ新たな可能性を探求しました。

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研究交流会の様子

 つづいて、福井県内の繊維関連企業を訪れ、現場でのものづくりを見学。理論だけでは得られない貴重な体験を積みました。特に、前田工繊株式会社や日華化学株式会社の見学は、繊維産業の多様性と将来性について理解を深める機会となりました。

 文化交流の一環として、永平寺やはたや記念館ゆめおーれ勝山を訪問し、日本の伝統的繊維産業や文化に触れ、参加者の視野を広げました。福井駅周辺での文化体験では、福井城跡や養浩館の訪問を通じ、日本の歴史と文化の深さに触れました。

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ゆめおーれ勝山での繊維装置見学の様子

 最終日には、成果報告会と意見交換会が行われ、参加者は滞在中の経験を共有しました。この時間は、互いの研究や文化に対する深い理解を促進する貴重な機会となりました。このようにして、本プログラムは参加者に繊維産業に関する広範な知識と実践的な技術を提供し、彼らの学術的及び文化的な視野を拡大しました。

3.プログラムの成果と影響

 このプログラムでは、参加者たちには繊維産業に関する専門知識のみならず、実践的な技術を習得し、異文化理解の重要性を深く体感してもらうことに重点を置きました。また、招へい者だけではなく、プログラムに協力した本学学生にとっても、国際的な視野を持つことの重要性と、グローバル社会で活躍するためのスキルを養う機会となるよう工夫しました。異なる国と文化背景を持つ参加者たちが一堂に会し、共に学び、議論することで、相互理解を深め、今後の研究やキャリアにおいて役立つ強固な関係を築くことができたと考えています。これらの人的ネットワークは、将来的に国際的な共同研究につながる可能性を秘めています。

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研究室での実験風景

 企業見学では、学生たちは繊維産業の現状と将来性を直接見聞きすることで、産業界の実情を理解し、自らの研究やキャリア形成においてどのように活かすことができるかを考える良い機会となったと思います。また、文化交流活動は、招へい者にとって実際に日本の文化や伝統に触れる初めての体験であり、忘れられない経験となったとの声がありました。

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企業見学の様子

4.おわりに

 この国際交流プログラムは繊維産業の未来に向けて多様な文化と技術を学ぶ貴重な機会を参加者に提供しました。異なる言語や文化背景が挑戦となる場面もありましたが、これらは同時に重要な学びの瞬間となったと思います。効果的なコミュニケーション手法と異文化理解を深めるプログラムの充実が、今後の成功の鍵となります。参加者は、国際的な視野を養い、将来様々な分野での活躍に向けた大きな財産を得ました。また、このプログラムは異文化間の架け橋となり、参加者だけでなく、関係者全てに互いの理解を深める機会を提供しました。グローバルな繊維産業の未来を担う若者たちを支援し、促進するための重要なステップになったと信じています。