2023年度活動レポート(一般公募プログラム)第204号 (Aコース)
高知における次世代農林水産業体験プログラム
高知大学農林海洋科学部
講師 阪田光和さんからの報告
2024年3月2日から9日までの8日間、カセサート大学、コンケン大学、ラジャマンガラ工科大学スリビジャヤ校、マレーシアプトラ大学、マレーシアサラワク大学から計10名の大学生を招へいしました。今回、高知の一次産業スマート化への先端的な取組と、その基礎となるデータサイエンスについて体験しながら学び、農林水産分野の科学技術に対する関心や理解を一層深めることを目的としてプログラムを実施しました。
3月4日午前は、本学の物部キャンパスにおいてオリエンテーションとキャンパスツアーを行いました。オリエンテーションでは、大学紹介と学部紹介、参加者の自己紹介を行い、相互理解を深めました。その後、キャンパス内を散策し、最新の実験機器が整備されている遺伝子実験施設の見学を行いました。午後からは、林業分野に関する講義として日本における森林・林業の課題とICT技術によるスマート林業への取り組み、およびそれを支える技術の基礎について学習しました。講義後は教室の外に出て、GISによる森林の利用と管理について校内の樹木を対象として演習を行いました。
3月5日午前は、櫻井学長を表敬訪問しました。櫻井学長からは自身がタイ、マレーシアを訪れた際のエピソードが披露されるなど、和やかな会談となりました。午後からは、四万十町へ移動し、高軒高グリーンハウスを有する有限会社四万十みはら菜園でトマト栽培を見学しました。四国随一の大規模施設であり、データを活用した生産現場を見学し、参加者からは多くの質問が挙がりました。
3月6日午前は、Next次世代型施設園芸農業に関する講義と学内の施設見学を行いました。ITやAI技術により、施設園芸作物の生理・生育情報の可視・共有・機能化の方法論について実例を交えながら学習しました。午後からは、水産・海洋分野に関する講義として、デジタル技術を活用した「スマート水産業」や海洋資源管理の基礎となるセンサーやデータ解析技術の基礎と応用の可能性について学びました。その後、須崎市の高知県水産試験場へ移動し、試験場の取り組みについて説明を受け、実際の試験現場を見学しました。
3月7日午前は、高知市内の文化施設の見学として高知みらい科学館、高知城の見学を行いました。お昼には高知市内の観光名所であるひろめ市場で食事を行い、高知の食文化を体験する機会となりました。午後からは、高知県立牧野植物園を訪問し、植物標本室の見学と園内を散策しました。この日は写真撮影のポイントも多く、和気あいあいとした雰囲気でした。
3月8日午前は、スマート農業に関する講義と演習を行いました。演習では、超小型コンピュータ「ラズベリーパイ」を用いた環境センサーの組立とプログラミング、現場測定を行い、データ農業の基礎を体験的に学びました。お昼休みの時間を利用し、物部キャンパスで学ぶ留学生と日本人学生を交えて意見交換会を実施し、親交を深めました。実際に留学生と交流することで、留学への関心や意欲が高まったようでした。午後からは成果報告会として、今回のプログラムで学んだことや自国との比較について発表を行いました。報告会に引き続き行われた閉講式では、修了証の授与が行われプログラムの内容が全て終了しました。
今回の交流を留学生の受け入れなど国際交流の発展に繋げていきたいと考えています。実施にあたり、ご支援いただきましたJSTさくらサイエンスプログラム、四万十みはら菜園、高知県水産試験場、牧野植物園の皆様、高知大学の関係者の皆様には深く御礼申し上げます。