2023年度 活動レポート 第203号:東京農工大学

2023年度活動レポート(一般公募プログラム)第203号 (Aコース)

微細加工に関する国際共同研究の実現に向けた体験プログラム

東京農工大学大学院工学府からの報告

 2024年1月14日から20日まで、「さくらサイエンスプログラム」の支援を受け、「微細加工に関する国際共同研究の実現に向けた体験プログラム」が実施されました。本プログラムは、東京農工大学が招へい機関として、大連理工大学の若い研究者に対して、日本の微細加工における研究環境および研究内容と日本文化を体験させることで、国際共同研究の検討と日本の大学への留学を促進することを目的として、中国の大連理工大学から大学院生9名(うち博士課程3名、修士課程6名)と引率教員1名を招へいしました。

 7日間という短い時間の中、両大学の学生間の活発な交流や研究紹介、施設見学、文化体験が行われました。初日は、プログラムの目的や日程、生活上の注意事項、見学や実験時の安全事項が説明され、オリエンテーションが行われました。二日目以降は、「気泡フラッシング効果を考慮に入れた制御系の構築による微細深穴の放電加工速度向上」などの研究プロジェクトの概要および研究内容、成果の紹介、生産加工の研究室・モノづくり創造センターの見学が実施されました。

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ものづくりセンター見学の様子

 両国の学生たちが実施された実験の手法や得られた結果について熱心にディスカッションを行いました。異なるバックグラウンドや文化を持つ学生たちが、共通の研究課題に取り組む中で、それぞれの視点からの議論が活発に交わされました。微細深穴の放電加工速度向上に関する課題に対し、大連理工大学の学生たちは独自のアプローチや技術を提案し、東京農工大学の学生たちもそれに対して自らの経験や知識を交えながら意見を述べました。これらの実践的な活動を通じて、両大学の学生たちが協力し合いながら問題に取り組む姿勢が形成され、国際共同研究の実現に向けて、協力するための信頼関係が築かれました。

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実験の様子

 ディスカッションの中では、技術的な側面だけでなく、文化や研究手法の違いに対する理解も深められました。異なるバックグラウンドを持つ学生同士が協力し合いながら、より広い視野を開拓し、問題解決に取り組む姿勢が見受けられました。これらの実践的な活動やディスカッションを通じて、双方にとって貴重な経験となり、将来の共同研究や国際的な協力に向けた基盤を築く重要な一歩となりました。また、日本科学未来館の見学を通じて、広範な科学技術に触れる機会も提供されました。帰国後も交流は継続され、将来的には再来日や中長期の留学を促進するサポートが予定されています。

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修了証贈呈の様子

 学術的な交流だけでなく、両国の学生たちが集まり、食事を共にしながら、各国の文化や日常生活についての興味深い話題が交わされ、国際的な友情が深まりました。なお、フリータイムでは、招へい者らは新宿、渋谷などの東京都心部を訪れ、日本の都市生活を体験し、日本文化に触れ合い、繁華街の雰囲気や日本のストリートカルチャーを感じることができました。都庁舎の展望台や渋谷スカイからは、夜景を一望することができ、日本の首都の美しさに感動しました。これらの日本滞在中のエクスカーションや文化体験は、学生たちに日本の生活や文化を身近に感じさせ、交流の範囲を学問だけでなく人間的な側面にも広げました。これが将来の留学や国際協力において、異文化理解や柔軟性を培う一助となることでしょう。

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渋谷スカイにて

 このような国際的な交流は、異なる文化や研究環境に触れることで新たな視点を得ることができ、今後の科学技術の進歩に寄与することでしょう。 JSTの支援に感謝し、今後も国際交流の促進に向けてさまざまな活動に取り組んでまいりたいと存じます。