2023年度 活動レポート 第200号:香川大学

2023年度活動レポート(一般公募プログラム)第200号 (Aコース)

インドネシアの優秀な若者がレジリエンスサイエンス(減災科学)を学ぶ

香川大学四国危機管理教育・研究・地域連携推進機構からの報告

 香川大学四国危機管理教育・研究・地域連携推進機構では、南海トラフ地震等巨大化・広域化する自然災害や多様化・グローバル化する危機に対して、香川県はもちろん四国の防災・危機管理教育研究拠点の役割の強化を目的に平成28年4月創設されました。
 本機構では、地震、津波、高潮、河川氾濫等の自然災害、およびテロ、事故や犯罪等の人為災害から人々の生命や財産を守り、危機管理に関する学術的・技術的研究開発ならびに国内外を問わず人材育成を行っています。

 特に災害多発国であるアジア地域との連携に取り組んでおり、本年度の研修では、インドネシアの優秀な若者を対象に、レジリエンスサイエンスリーダーの養成を目的としました。レジリエンスサイエンス(減災科学)リーダーとは、想定外の事態に対して地域社会全体の継続を目標に、危機を分析・評価し、適切にマネジメント(計画・実践)できる高度な対応能力を有する人材です。

 本年度では、以下の3点に着目した研修を行いました。

  1. 減災科学に関する日本の先端的な教育研究・取り組みを学ぶことを目的に、先端科学を研究する講師からの講義と、香川大学で防災・危機管理を学ぶ学生、その他留学生との研究交流
  2. 減災未来社会を実現するために必要な工学的アプローチとしてのリスク評価を考えることを目的に、シミュレーション技術や可視化技術を活用したリスク評価技術に関する講義や教育訓練施設での訓練体験
  3. リスク評価結果の可視化と減災対策、災害による被害を前提とした社会づくりのあり方(目標像)を考えることを目的に、関東大震災から100年を迎えた首都圏における既往災害の教訓継承・復旧復興技術に関するメモリアルミュージアムの視察

1.減災科学に関する各国の実情理解と日本の先端的な教育研究・取り組み

 講義では、世界最先端の地震津波シミュレーション技術や観測技術について学びました。研修生は日本における南海トラフ地震の想定津波や地震動をわかりやすく可視化したシミュレーションを視聴し、シミュレーション技術や応用方法について学びました。

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レジリエンスサイエンス講義・コースリーダーの金田先生と

 また、香川大学創造工学部防災・危機管理コースで防災・危機管理を専門的に学ぶ学生との研究交流を行いました。研究交流では、当初香川大学近傍の高松城周辺の現地調査を行う予定でしたが、あいにくの天候であったためGoogle Earthを用いたオンライン街歩きを行いました。街歩きでは、地質学的観点や歴史的観点、治水的観点から地域の成り立ちについて香川大学学生からの問いかけをもとに意見交換を行いました。本交流は、防災を学ぶ学生同士相互に刺激になったと感想を得ました。

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香川大学創造工学部防災危機管理コースの学生とGoogle Earthで高松城下防災まち歩き

2.減災未来社会を実現するために必要な工学的アプローチとしてのリスク評価

 講義では、気候変動による極端災害の現象理解やその対応策の検討手法、日本における防災教育の現状や課題を学びました。
 実習では、香川大学が開発したVR災害状況再現対応能力向上訓練システム体験を行いました。当システムは学校教員を対象に開発されたもので、学校等で災害が発生した場合の対応行動についてシナリオ型の訓練をVR映像により体験できるものです。本システムは、香川県教育委員会の教員免許更新講習でも活用されており、研修生は児童・生徒を対象とした防災教育に加えて、教員の災害対応能力向上の必要性についても理解を深めました。

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3D‑VRで再現した小学校の教室での避難訓練体験

3.既往災害におけるメモリアルミュージアムの視察

 視察では、本年が関東大震災発生から100年にあたることから、東京臨海広域防災公園・そなエリアを訪問しました。既往災害の教訓の継承と、首都直下地震発生の切迫性から、都市機能の有する地域における被害と個人の災害への備えについて学習しました。

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東京臨海広域防災公園・そなエリアの視察

 JSTの皆様をはじめ、送り出し機関の方々、引率の先生方、香川大学の事務担当の方々、講義に協力いただいた先生方のおかげで、安全かつ有意義な研修を終えることができました。記して感謝申し上げます。