2023年度 活動レポート 第193号:長岡工業高等専門学校

2023年度活動レポート(一般公募プログラム)第193号 (Aコース)

ADTEC Melaka校と長岡高専とのグローバルキャンプ

長岡工業高等専門学校からの報告

 長岡工業高等専門学校(以下「長岡高専」と呼びます)は、令和6年2月24日から3月2日までの8日間、さくらサイエンスプログラムの交流事業を実施しました。今回のプログラムでは、マレーシアのADTEC Melaka校(高等技術トレーニングセンター・マラッカ)から学生7名と教員1名を招き入れました。長岡での活動は、日本文化の体験、ものづくり交流、新潟県の歴史の学習、の3つが主な内容でした。以下に、本プログラムの実施内容を説明いたします。

1.日本文化の体験

 本校の地球ラボと協力し、また本校で学んでいるマレーシア留学生のサポートを受けて、書道と茶道の体験を行いました。どちらの体験もマレーシアの学生にとって新鮮なものでした。

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書道体験

2.ものづくり交流

 ものづくり交流では、ベルトコンベアで流れてくる荷物を自動認識して掴み上げるために、6軸ロボットアームにAIカメラを組み合わせたシステムの構築を目指しました。まず初めに、6軸ロボットアームとベルトコンベアの動作確認を行いました。その後、リバースエンジニアリングとして、6軸ロボットアームのすべてのネジを外して部品の状態に戻しました。その後、先ほど分解した順番とは逆に部品を組み付け、6軸ロボットアームを完成させました。また同様に、Lego EV3で作製されたベルトコンベアも全てのパーツを外して部品の状態に戻し、再度、組み立て直しました。6軸ロボットアームとベルトコンベアの組み立て後、ArduinoボードとAIカメラを接続し、物体認識を行いました。ADTEC Melakaの学生たちはエンジニアリングを学んでいますので、学びの速さが際立ち、長岡高専生からアドバイスを受けながら研修を進めました。

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リバースエンジニアリング

3.新潟県の歴史の学習

 招へいプログラムの一環として、新潟県立歴史博物館と長岡市郷土資料館を訪問しました。新潟県立歴史博物館は平成12年8月に新潟県のほぼ中央に位置する長岡市西部丘陵の一角、火焔土器が出土した馬高・三十稲場遺跡の近隣に開館された博物館です。全国的・世界的視点からの縄文文化の紹介・展示(縄文人の世界、縄文文化を探る)と、新潟県の歴史・文化を紹介する歴史展示(新潟県のあゆみ、雪とくらし、米づくり)が特徴となっています。ADTEC Melakaの学生たちは縄文時代からの長い歴史に感嘆し、雪国の生活様式に興味深く見入っていました。

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長岡市郷土資料館にて

4.スカイツリー・浅草・日本科学未来館などの見学

 長岡高専でのプログラム終了後は、帰国の際の移動にあわせて、スカイツリーや日本科学未来館の見学を行いました。スカイツリーでは地上から天望デッキ(第一展望台・高さ350m)を約50秒で結ぶ大容量・超高速のエレベータに乗り、その速さとあまりのスムーズさに感動していました。スカイツリーは単なる観光名所にとどまらず、日本の技術力や文化を象徴する存在として、国内外から多くの人々が訪れる理由がよく分かります。その壮大な姿と魅力は、一度訪れたら忘れられないものとなりました。

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東京スカイツリーにて

 スカイツリーを見学したあと、浅草に寄りました。浅草は、東京の中でも伝統的な雰囲気が漂うエリアであり、歴史と文化が息づいていることを感じます。まず、浅草寺の大きな仁王門が目を引きます。仁王門をくぐると、石畳の参道が広がり、多くの人々が参拝している姿が印象的でした。浅草寺の本堂や五重塔も荘厳な雰囲気を醸し出しており、歴史を感じることができました。歴史的な建造物や伝統的な文化に触れながら、現代の東京の息づく雰囲気も感じられる場所であり、ADTEC Melakaの学生たちに再訪したいと思わせる魅力がありました。

 日本科学未来館は、科学と技術の最新の展示や体験が楽しめる場所として、非常に興味深い施設でした。館内にはさまざまなテーマに沿った展示があり、その多様性と深さに驚かされていました。特に1000万画素を超える高解像度で、宇宙に輝く地球の姿をリアルに映し出す日本科学未来館のシンボル展示物、Geo‑Cosmosに見入っていました。老いパークでは、老化による目・耳・運動器・脳の変化を疑似体験していました。将来身近になるかもしれないサポート技術を、マレーシアの学生自らが考え出してくれたら嬉しいです。

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日本科学未来館にて

 このプログラムに参加したADTEC Melakaの学生ならびに引率された先生は、日本の学生と交流でき、日本での生活を体験し、日本の今を理解することができたことに対して大変有意義であったとの感想を述べていました。最後に、このような貴重な機会を与えてくださいました科学技術振興機構にお礼を申し上げます。