2023年度 活動レポート 第192号:福岡アジア都市研究所

2023年度活動レポート(一般公募プログラム)第192号 (Aコース)

中国の優秀な学生が研究教育の現場と住みよいまちづくりの実践を体験

福岡アジア都市研究所からの報告

 新型コロナ感染症が終息を迎えるなか、外国語学院をはじめ、機械工学院、法学院など、全学範囲で選ばれた上海交通大学の優秀な学生訪問団一行10名が、2024年1月14日から20日までの日程で福岡を訪問し、福岡アジア都市研究所(URC)がコーディネートしたさくらサイエンス交流計画に基づき、科学技術にかかわる研究教育の現場と住みよいまちづくりの実践を視察・体験した。

 到着翌日には、URC理事長から九州大学キャンパス移転に伴う新たな学園都市づくりの現状と課題、URC研究員から福岡市の都市成長の特徴や「天神ビックバン」に代表される中心市街地再開発などが紹介され、学生たちは福岡の都市成長と住みよいまちづくりへの取り組みを学ぶことができた。

 3日目には、九州大学の教授から、日本の高等教育国際化政策と福岡での留学生の現状について講義があり、グローバル30やスーパーグローバルユニバーシティ建設など、大学の国際化を推進する日本の決意とイニシアティブを学生たちに認識させた。

 4日目は、福岡工業大学を訪問し、総合研究所、学生クリエーションセンター、3D画像計測技術装置などを見学した。 学生たちは、特に、3D画像計測技術装置を使ったリアルタイムの画像データ活用で、津波監視による早期警報が可能となり、人命救助や財産保全に重要な役割を果たすことができることに深い感銘を受けたようだ。また、日本人学生や留学生との交流を通して、研究室の良好な学習の雰囲気を実感することもできた。

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3D画像計測を体験する参加者

 同日の午後は、九州産業大学生命科学部生命科学科を訪問し、マイクロバブル技術の概要と研究現状、さらに生命科学分野での応用について紹介を受けた。農業生産や食品保存分野でのマイクロバブル技術への関心の高さに学生たちが驚いていた。

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最先端の香り計測装置に驚く参加者

 5日目には、九州大学国際水素エネルギー研究センターを訪問し、水素製造装置と水素の貯蔵ならびに輸送におけてコンパクトさ、安全性、効率性が強く求められている研究開発の現場を知り、水素研究開発における発想の柔軟さと完全性追求の大切さを実感した。

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水素エネルギー研究の難しさについて質問する参加者

 6日目は、佐賀大学シンクロトロン光応用研究センターを訪問し、シンクロトロン光の応用について実験装置を見ながら講義を受けた。シンクロントロン光応用の開発研究を通じて、将来を担う人材の教育・育成、未来技術の開発、知的資産の活用、新産業創出・産業高度化等の産官学連携の姿を垣間見ることができた。

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シンクロントロン光の実験装置を覗き込む参加者

 今回の招へいプログラムでは、中国の優秀な学生たちが日本の大学の進んだ研究や教育を学ぶと同時に、元留学生たちの活躍を体感することによって、日本への理解を深め、国際共同研究や日本留学のモチベーションの向上につながることを目的にした。そのため、プログラム実施において、大学の研究教育現場で活躍している留学経験者を講師に迎えたり、現在、研究室にいる留学生と交流の時間を設けたりすることで、日本の留学環境や留学後のキャリア形成を体感できるように工夫した。

 さくらサイエンスプログラム修了後、学生たちは、この充実したプログラムに参加できたことに感激し、すぐに中国のSNS上で自分の体験をシェアした。また、さっそく、福岡市の大学の短期留学プログラムに関する情報収集を始めた学生もいる。