2023年度活動レポート(一般公募プログラム)第191号 (Cコース)
インドネシアで農業を学ぶ大学生、大学院生のための研修プログラム
公立諏訪東京理科大学からの報告
【概要】
2024年2月27日から3月5日までの8日間、公立諏訪東京理科大学において、インドネシア・ボゴール農科大学、ランブンマンクラット大学(カリマンタン島)、リアウ大学(スマトラ島)の3大学から教員を含む9名の農業系学科の大学生、大学院生を招へいし、科学技術交流プログラムを実施した。内容は、「気候変動に適したインドネシアアブラヤシ栽培最適化に資するゲノム育種およびスマート農業技術習得プログラム」というタイトルでの研修プログラムであった。
地球温暖化は、年々進行し、自然災害の激化や、農産物の品質劣化・生産量減少、熱中症や心肺系疾患や感染症の増加などの健康被害が起こっている。インドネシアにおいては、パーム油の原料となるアブラヤシプランテーションの確保のために熱帯雨林の破壊が進んでおり、環境問題となっている。今回、これらの問題に対する対応策として、アブラヤシ栽培最適化に資するゲノム育種およびスマート農業を推進するための基礎的な技術を習得するための研修として、本プログラムを実施した。
【プログラムに先立ちインドネシアを訪問】
本プログラムに先立ち、公立諏訪東京理科大学の実施主担当者である石井一夫教授は、2024年2月11日から2月15日にインドネシアのボゴール農科大学を訪問し、Siregar教授、Santosa教授、Supriyanto博士、Matra博士(本プログラムの実施担当者)などと対談し、アブラヤシ栽培の現状や将来展望などを伺い、アブラヤシ栽培企業との打ち合わせ、アブラヤシ農園、パーム油工場の視察を行った。同時に、本プログラムの打ち合わせなどを行った。その後、帰国し本プログラムに備えた。
【プログラムの経過】
2月27日に来日、宿泊予定のホテルに移動後、2月28日に、午前にガイダンスと公立諏訪東京理科大学内の案内を行った。
午後に、近くの八ヶ岳中央農業実践大学校を訪問し、農業大学校の牧畜地や農地の視察、センサーなどでスマート農業に基づきビニルハウスで栽培管理している糖度の高いトマトの視察を行った。見学・視察後に交流会を行い、インドネシア学生による民族舞踊の披露、出席者全員で踊り方を教わって踊るなど盛り上がった。
2月29日から3月2日の3日間は、バイオインフォマティクス・ゲノム解析の概要(1日目)、ゲノムデータ分析(2日目)、AIによる画像分析(3日目)などについて講義を実施した。
諏訪地方は雪となり、農業大学校には雪が積もっていた。雪景色を楽しみ、雪だるまを作ったり、雪合戦をしたことも、東南アジアの学生としては貴重な経験になった。ホテルでは、イスラム教に合わせた食事を用意することは難しいため、ホテル帰宅前にスーパーマーケットで買い物をした。皆でたい焼きを食べたり、ガチャに足が止まり、一人ひとり順に挑戦するなど日本のサブカルチャーを楽しむ場面があった。
3月3日は、諏訪大社を見学した後、東京に移動し、3月4日は午前に日本科学未来館を見学した。常設展では、「未来逆算思考」、「未来予測シミュレーション気温」、「森林火災」など、私達がこれから取り組もうとしている地球温暖化に関するテーマが多く、自分たちのこれからの研究や交流に刺激を受けた。午後は、ホテルのある上野に戻り、科学博物館などが、あいにく月曜日で、多くの施設は閉館となっていたので、上野公園、アメ横、秋葉原などで買い物などを楽しんだ。
【まとめ】
本研修プログラムを通じて、アブラヤシの栽培最適化など今後の研究や交流のきっかけとなる有意義なイベントとなった。