2023年度活動レポート(一般公募プログラム)第184号 (Aコース)
実験動物を用いた脳神経活動計測の技術交流
東北大学大学院薬学研究科 薬理学分野
助教 田村篤史さんからの報告
2024年1月21日から2024年1月27日にかけての7日間、中国の南京医科大学・薬学部に所属する学部生3名、大学院生4名、引率の教員3名の計10名が東北大学薬学部薬理学分野 (佐々木拓哉教授) において、「実験動物を用いた脳神経活動計測の技術交流」をテーマに科学技術体験コース活動を行いました。
招へいされた皆さんは、1月21日午後に東京に到着、そこから最終目的地である東北大学がある仙台に移動し、到着は同日の夕方となりました。本格的なプログラムは次の日の1月22日から東北大学青葉山キャンパスで行われました。初日は 、招へい者と受入機関の学生および教員の交流を目的として、お互いの研究内容を発表する研究交流会を行いました。参加者の研究領域は神経科学という点で共通しておりましたが、研究手法や研究対象となる脳神経領域や生理現象が異なり、お互いに新たな知見を得ることのできた有意義な時間になりました。発表後の質疑時間には白熱した議論が行われました。研究交流会の後に設けた懇親会では、学生同士の交流が活発に行われました。学生間では、研究についてのみならず、お互いの文化や最近の流行、大学生活の様子などの異なる点や似ている点についての会話が大いに盛り上がっていました。
3日目からは佐々木研究室が保有する実験動物を用いた脳神経活動計測の技術について、デモンストレーションを交えての講習が行われました。3日目の講習では、シリコンプローブによる麻酔下実験動物の活動電位計測、光によって神経活動を操作された実験動物の行動実験、4日目は自由行動中の実験動物の脳の多領域からの脳波計測、計測に使用する記録電極の作製法、5日目は自由行動中の実験動物からの心拍計測およびその解析方法、6日目は内臓からの情報を脳へと送る迷走神経を刺激する実験について、学びました。
講習は全て英語で行われました。当研究室の学生が指導・説明を主に担当し、招へい者の皆さんは熱心に耳を傾けていました。本報告書執筆者自身も、多点脳波計測手法と計測に使用する記録電極の作製法の講習を行いました。積極的に質問をする招へい者の皆さんに圧倒されつつも、大変感銘を受けました。
講習後の空き時間には、本学初の中国人留学生である魯迅の資料が数多く展示されている東北大学史料館を訪問し、1904年から続く、本学と中国の交流の歴史について学びました。
青葉山キャンパスでの体験最終日となる1月26日の午後には、当研究室の主催者である佐々木教授との懇談が行われ、今回のプログラムで学んだことや感想を報告しました。参加者全員が、得られた貴重な体験についての感想を述べていました。
7日間という短い期間ではありましたが、招へい者の皆さんには多くの知識と経験を持ち帰ってもらえたのではないかと思います。また、最終日には両校の学生間で連絡先の交換や、研究などについての会話が積極的に行われる様子が見られました。このような機会は、招へい者だけでなく、プログラムに参加、協力してくれた当研究室の学生にとっても国際交流の良いきっかけとなりました。今後も交流が継続されることを期待しつつ、プログラムの結びとなりました。報告者個人としては、今回初めて海外からの招へい者の対応を行い、来日前と来日中に起きた小さなトラブルへの対処も含めて非常に良い経験ができたと思います。学生同士が活発に国際交流を行っている様子を見て、今後この中から中国から日本へ、あるいは日本から中国へ留学していく学生が出てくることが期待できるような良いプログラムになったと確信しております。
最後に、このような貴重な交流の機会を与えていただいたJSTの皆様、並びに、ご支援・ご協力をいただいた多くの関係者の皆様に深く感謝申し上げます。