2023年度 活動レポート 第173号:山梨大学

2023年度活動レポート(一般公募プログラム)第173号 (Aコース)

人間ロボット協調技術に関する燕山大学学生と山梨大学学生の研究交流

山梨大学からの報告

 2023年12月5日から12月11日の7日間の日程で、燕山大学(中国)の自動車・エネルギー研究科および機械工学研究科の大学院博士課程学生4名、修士課程学生3名が山梨大学を訪れ、山梨大学大学院医工農学総合教育部工学専攻機械工学コースの修士課程学生9名と工学部機械工学科の学部学生6名とともに、人間ロボット協調技術に関する研究交流を行いました。本プログラムは、燕山大学の学生が本プログラムの代表者である野田善之教授が執筆した論文を閲読する中で、実際に実験装置を見ながら野田教授や一緒に研究活動に取り組んでいる学生たちと議論したいとの要望があり、さくらサイエンスプログラムへ応募し、その支援を受けて実施しました。

【12月5日~6日】

 深夜に燕山大学の学生たちは羽田空港に到着し、その日は空港周辺のホテルに宿泊しました。翌日は午前中に東京から山梨県甲府市へ電車で移動し、午後から山梨大学の学生たちとの交流が始まりました。最初に、本プログラム代表者である野田教授から山梨大学の紹介とプログラムのスケジュールや概要の説明がありました。その後に野田教授が主宰する動的システムデザイン研究室にて、実験装置を見学しながら山梨大学の大学院生や学部生が各自の研究内容を英語で紹介しました。

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山梨大学学生による研究紹介の様子

 この研究紹介では、燕山大学の学生から多くの質問や意見が投げかけられ、活発な議論が行われました。特に、動的システムデザイン研究室では、ロボットや機械が人間に協調する制御システムを開発しているため、実際に実験装置に触れながら議論することで、お互いに理解が深まり、新たな気づきを得ることができました。山梨大学の学生たちも英語のコミュニケーションに加えて、実験デモンストレーションを交えて紹介できたため、充実した議論ができたとのことでした。

【12月7日】

 午前は引き続き、山梨大学学生による研究紹介が行われました。そして、午後は野田教授による力覚提示ジョイスティックによる移動ロボットの安全操作支援システムについて研究紹介を行いました。その後に燕山大学の学生が各自の研究を紹介し、お互いの意見を交わしました。午後の研究紹介は長時間にわたり、当初予定していた終了時間を1時間以上も超過しました。その日の夕方には学生食堂のホールで意見交換会を行いました。意見交換会では研究の話ばかりではなく、燕山大学の日常や学生生活の状況、卒業後のキャリアなどについて歓談しました。

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意見交換会での集合写真

【12月8日】

 山梨県内の工場見学会を実施しました。午前は株式会社キトーを訪問し、午後はトーヨーコーケン株式会社を訪問しました。株式会社キトーではチェーンブロックの製造ラインの見学に加えて、近年実用化が進められている電動チェーンバランサの操作体験も行われました。トーヨーコーケン株式会社はロボットアーム型バランサを実用化しており、そのバランサの操作体験を実施しました。電動チェーンバランサおよびロボットアーム型バランサはともに人が加えた操作力に反応して重量物を自在に移動させることができる機械であり、まさに人間ロボット協調技術の一形態です。燕山大学の学生のみならず、同行した山梨大学の学生たちも実用化されている最新技術を体験することができ、非常に充実した工場見学会になりました。

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トーヨーコーケン株式会社での工場見学

【12月9日】

 文化交流体験として、午前中に富士山パノラマロープウェイで天上山の山頂から富士山を眺め、その後に北口本宮富士浅間神社を参拝し、午後は山梨県立リニア見学センターを訪問しました。燕山大学の学生の多くは写真などで富士山を見たことはあったそうですが、天上山山頂からの眺めは格別で全員が感動していました。山梨県立リニア見学センターでは超伝導のデモンストレーションなどリニア新幹線の技術を興味深く見学していました。

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天上山山頂での集合写真

【12月10日~11日】

 これまでの振り返りとして、体験した内容をまとめてもらいました。そして、12月11日の午前中に甲府市から羽田空港へ移動し、午後に燕山大学の学生たちは日本を発ちました。この日は中国の北京周辺が大雪のため、予定していた飛行機の離陸が大幅に遅延しました。しかし、その日のうちに北京に着くことができ、無事に帰宅したとの連絡が届きました。

 本プログラムに参加した山梨大学の学生たちも終始英語でのコミュニケーションをとっていたため、少々疲れ気味のようでしたが、海外の学生と触れる良い機会だったようで、今後もこのような機会があったら参加したいとのことでした。また、機会があれば自ら留学や海外渡航をしたいと多くの学生が海外に向けて興味を抱いたようでした。

 最後に本プログラムにご協力いただいたJSTや山梨大学の皆様、工場見学にご協力いただいた株式会社キトー、トーヨーコーケン株式会社の皆様には心からお礼申し上げます。