2023年度 活動レポート 第168号:東北大学

2023年度活動レポート(一般公募プログラム)第168号 (Aコース)

科学技術の革新による言語と文化の伝播

東北大学からの報告

 2024年1月21日から28日の8日間、中国の山東大学国際教育学院から11名の若手研究者(内訳:学部学生5名、大学院生4名、引率教員2名)が、東北大学文系6部局で実施されたA.科学技術体験コースのプログラムに参加しました。テーマは「科学技術の革新による言語と文化の伝播」です。本コースでは主に、(1)言語学の研究教育施設、実験室の見学、(2)言語学の研究発表会の参加、(3)日本人学生との国際交流を行いました。具体的な滞在日程は以下のとおりです。

日 程 活動内容
1月21日 日本(羽田空港)に到着、東北大学に移動
1月22日 魯迅階段教室・東北大学史料館・東北大学附属図書館の見学、教育学研究科教員ラボの訪問、開講式、川内キャンパスツアー
1月23日 東北大学加齢医学研究所FMRI実験室見学及び研究室メンバーとの研究交流
1月24日 中級中国語授業の見学、スリーエム科学館の見学
1月25日 東北大学国際文化研究科研究発表会の参加、研修成果の発表会
1月26日 初級中国語授業の見学、荒浜小学校の訪問
1月27日 日本文化体験(茶道)、羽田空港に移動
1月28日 羽田空港から帰国

(1)東北大学教育学研究科教員ラボの訪問

 東北大学教育学研究科の小嶋秀樹教授のラボを見学しました。小嶋教授は認知科学・人工知能・ロボティクスの研究者です。近年来、自閉症児を対象に、ロボットを活用した社会性の発達支援のための研究が行われています。学生らが小嶋教授ラボを見学した後、小嶋教授より自らの研究内容、コミュニケーション療育の実践例、ロボット活用の可能性について分かりやすく解説していただきました。参加者はロボットとしての「Keepon(キーポン)」、「Infanoid(インファノイド)」を見て大変驚いていました。終了後、小嶋教授にサインを求める参加者もいました。

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ロボットKeeponとInfanoidの説明を受ける参加者

(2)東北大学加齢医学研究所FMRI実験室の見学

 もともと東北大学には3つの強みがあります。1960年代以来、言語学の分野ではチョムスキーの生成文法理論研究を導入し、近年では認知言語学、計算言語学の分野を中心に国際水準の先端的な研究を行ってきました。3日目、山東大学の学生らが東北大学星陵キャンパスにある加齢医学研究所FMRI実験室を見学しました。そこで、東北大学国際文化研究科の鄭嫣婷教授より脳科学と認知言語学の融合に関する研究を説明していただきました。山東大学参加者の一人も代表として脳機能を観察されることを通して、最先端の言語学研究実験を体験しました。その後、研究室の教員や学生との意見交換、互いの研究紹介を行うなどして親交を深めました。

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FMRI実験室の見学および研究内容紹介1
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FMRI実験室の見学および研究内容紹介2

(3)成果発表会

 招へい者の学生全員が、今回の見学体験とともに自らの研究内容もあわせて発表報告が行われました。質疑応答を通じて、言語学の新しい研究手法、意義、問題点などについての理解が深まりました。この後に閉会式とさくらサイエンス証明書の授与を行いました。

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成果発表会にて

(4)日本文化体験(茶道)

 帰国の前日は、日本文化体験を行い、午前中に茶道体験に参加しました。学生らが茶道はただお茶を飲むだけでなく、おもてなしの精神や侘び寂びなど、美しい心得を感じられるという日本の伝統文化とのことを学びました。その日の午後は、新幹線で東京に着き、少し観光することができました。

 翌日、羽田空港まで見送り、プログラムを無事終了しました。本プログラムは、東北大学の先進的な研究技術の体験や留学促進のみならず、交流を通じて、日中文化に対する関心や理解を高めるきっかけとなる、有意義なものになりました。今回の交流が、山東大学及び本学にとって、非常に意義深く、大きな刺激になったことを実感しており、今後の研究及び教育に大いに期待が持てると確信しています。
 今回このような貴重な体験を行う機会を頂き、また丁寧な対応をしていただいたJSTさくらサイエンスの関係者の皆様とご協力いただきました皆様に心より感謝申し上げます。どうもありがとうございました。

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羽田空港にて参加者全員の集合写真