2023年度 活動レポート 第160号:九州工業大学

2023年度活動レポート(一般公募プログラム)第160号 (Aコース)

インドネシアの高校生が九工大で最先端の研究現場を体験

九州工業大学からの報告

 2023年12月11日~12月17日、九州工業大学大学院情報工学研究院のある飯塚キャンパス(福岡県飯塚市)をメイン会場として、さくらサイエンスプログラムを実施しました。

 招へいしたのは、インドネシアのバタム島にあるインターナショナルスクール、セコラグローバルインドアジアの高校生です。このインターナショナルスクールは、英語教育を提供する学校です。島はシンガポールと海峡を隔てた場所にあり、日本の小学校から高校までの教育を行っています。目標は 「責任ある世界市民を育成すること」であり、実際に、同校卒業生は、インドネシアだけでなく、英語を用いた大学への進学先としてオーストラリア、シンガポール、米国、英国などに進学しています。したがって、モチベーションが高く、生徒もとても洗練されています。将来がとても楽しみな生徒ばかりです。受入実施機関の主担当者である小田部は、同じ研究系に所属する福間康裕教授のところにいたSurbhi Gupta研究員を通じて、セコラグローバルインドアジアの物理教師をしているAmit Badola博士と知り合い、先方の強い願いでこのプログラムを進めることができました。

活動レポート写真1
小田部研での超伝導浮上実験後の集合写真

【11月15日】

 事前にZoomを使ったオンラインのキックオフミーティングを行ないました。関係者が集まって、自己紹介をしたのちに、あらかじめ準備した方がいいことについて相談をして、来日に向かっての気分をあげました。特に12月は本格的な冬になるので、温暖なインドネシアの高校生には厳しい環境になるので、それらの注意をしました。またポケットWiFiやSUGOCAのような日本側で準備できるIT技術についても解説しておきました。

【12月11日】

 朝8:10の到着予定で福岡空港に来るという深夜便だったのですが全員元気で到着しました。いつも、さくらサイエンスプログラムでは実施主担当の小田部が空港まで迎えに行くのですが、今回は小田部研の修士と学部学生の2名に迎えに行ってもらいました。彼らにとっては、とてもいい経験になりました。福岡空港から九州工業大学飯塚キャンパスまで貸し切りのバスで移動する途中ではショッピングモールで初めての日本食に挑戦するなどしました。

【12月12日】

 福間康裕教授が行なっているさくらサイエンスプログラムと合同でIndian Institute of Technology(IIT)のProf. Rohit MedwalとGodavari Institute of Engineering & Technology, IndiaのProf. Ahammad Sharif Mohammedからそれぞれスピントロニクスと石油の岩盤からの回収について講演をいただきました。先生方は高校生に分かりやすく解説されたので、Rohit先生は講演のあとに高校生に囲まれてとても基礎的なところから丁寧に解説してくださり、印象的でした。午後には小田部研で超伝導体による永久磁石の浮上実験を行ないました。磁場中冷却(Field Cool)とゼロ磁場冷却(Zero Field Cool)の2つの異なる冷却過程で、浮上の様子がまったく異なることに、高校生は興味を持っているようでした。

活動レポート写真2
インドIITのRohit先生を囲んで講義後に質問攻め

【12月13日】

 福岡市科学館見学を行ないました。これも修士学生と学部学生の2名が案内や説明を行ないました。

【12月14日】

 工場見学を行ないました。北九州エコタウンセンターに行き、すべての製品がリサイクルされる説明にとても驚いている様子でした。まだインドネシアではあまりゴミの分別が進んでおらず、これから近い将来に日本のようになるというのであればビジネスチャンスもたくさんあるのではと話していました。また風力発電のサイトも見学しました。午後は久留米市にあるダイハツ九州久留米工場に行き、軽自動車の9つのタイプのエンジンを作る様子を見学しました。

活動レポート写真3
北九州エコタウンセンターでの説明。ペットボトルから制服が作られる

【12月15日】

 午前中に、飯塚高校の高校生と交流を行ないました。小田部からのアドバイスは、日本の高校生は英語がほとんど聞き取れないはずなので、ゆっくり話しなさいだったのですが、実際にはいつものようにスムーズに話していました。ただ驚いたのは、説明スライドにすべて日本語訳を入れていたことです。これによりインドネシアやインターナショナルスクールの説明を日本人はほとんど理解できたことでしょう。とても上手なプレゼンテーションでした。午後は飯塚市の国際文化交流センター館長牟田さんやもと東嘉穂高校の校長であった宇野先生らに協力いただき、飯塚市での日本文化体験をしました。

 招待した高校生も、案内した大学生にも大変有意義なプログラムになり、彼らの近い将来における国際的な活躍が楽しみです。

活動レポート写真4
最終発表会での集合写真