2023年度 活動レポート 第158号:長岡技術科学大学

2023年度活動レポート(一般公募プログラム)第158号 (Aコース)

リモート機器を活用した次世代ものづくり体験学習

長岡技術科学大学からの報告

 2023年12月3日から9日の7日間、ベトナム海事大学からの学生9名、教員1名が、長岡技術科学大学で実施された「A.科学技術体験コース」のプログラム「リモート機器を活用した次世代ものづくり体験学習」に参加しました。本プログラムでは、まず事前にオンライン授業(10月28日実施)とリモート機器を利用した3Dプリンタの演習(11月23日実施)を行い、その上で12月に実際に来日して実習を行う、という構成としました。これは、留学にともなう経済的負担や現地での授業科目履修などの問題を減らすことで留学しやすくし、さらに、日本での滞在期間が短くても高い学習効果が得られるようにとの狙いで試行しました。

 特に、リモート機器を利用した演習では、ベトナムで作成した設計データを日本へ転送し、さらにベトナムから遠隔で3Dプリンタを操作する造形実験を行いました。これにより実際に来日した際に実験を円滑に行うことができるとともに、参加者の高い理解度が得られ、さらに柔軟な留学プログラム設計が可能となる、極めて有効な学習プログラムであることが実証されました。なお、日本滞在期間中には、(1)樹脂および金属3Dプリンタによる積層造形実験と設計演習、(2)金属3Dプリンタを使用している新潟県の研究所と企業の見学、(3)報告会と修了式、本学のベトナム人留学生および日本人学生との意見交換会を行いました。日本滞在中のスケジュールは以下の通りです。

日 程 活動内容
12月3日 日本(成田空港)に到着、長岡へ移動、ガイダンス
12月4日 長岡技術科学大学学内施設見学、テクノミュージアム見学、DXものづくりラボ(3Dプリンタ)見学
12月5日 DXものづくりラボにて、設計演習、樹脂3Dプリンタを使った造形実験
12月6日 DXものづくりラボにて、設計演習、金属3Dプリンタを使った造形実験
12月7日 株式会社和田助製作所、新潟県工業技術総合研究所見学
12月8日 研修成果の報告会、修了式、学生との意見交換会
12月9日 長岡から成田空港へ移動、帰国

■長岡技術科学大学での樹脂および金属3Dプリンタによる積層造形実験と設計演習(12月5日、6日)

 事前に行ったオンライン授業およびリモート機器を利用した演習で課題に取り組むことにより見出した問題を解決できるように、再度、設計を行い、またプリンタの原理・特性を学習し、樹脂および金属3Dプリンタで実際に造形実験を行いました。

活動レポート写真1
長岡技術科学大学での設計演習

■金属3Dプリンタを使用している研究所と企業の見学(12月7日)

 株式会社和田助製作所と新潟県工業技術総合研究所を見学しました。株式会社和田助製作所では、会社や製品の説明を受け、工場を見学させていただきました。また、金属3Dプリンタ装置や造形品についての説明もしていただきました。新潟県工業技術総合研究所では、研究所内の試験機・加工機の説明を受け、研究所内を見学させていただきました。また、金属3Dプリンタ装置や造形品についての説明もしていただきました。

活動レポート写真2
株式会社和田助製作所の見学

■報告会と修了式、本学のベトナム人留学生および日本人学生との意見交換会(12月8日)

 本学の教員とベトナム人留学生、日本人学生が参加し、報告会を行いました。3Dプリンタで実際に製作した造形物を紹介しながら設計演習および造形実験の成果を説明し、また、日本での生活で発見したことについて発表しました。その後の修了式では、本プログラム参加者に修了証および記念品を授与しました。引き続いて交流会を行い、本プログラム参加者と本学のベトナム人学生および日本人学生の交友を深めました。

 本プログラムのように、オンライン授業、リモート機器を利用した演習、実際に来日しての実験を連結して行うことで高い教育効果が得られることが確認できました。同様のプログラムを、今回参加したベトナム海事大学のほかの海外の大学・研究機関や企業にも展開することで国際的な共同教育・共同研究が活発に行われ、国際交流が促進されることが期待されます。本プログラムに対してご支援いただいた国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)、見学にご協力いただいた株式会社和田助製作所および新潟県工業技術総合研究所、参加してくれたベトナム人留学生と日本人学生、プログラムの実施に関わったベトナム海事大学および長岡技術科学大学の教職員の皆様に深く感謝申し上げます。

活動レポート写真3
修了式後の全体写真