2023年度 活動レポート 第153号:九州工業大学

2023年度活動レポート(一般公募プログラム)第153号 (Aコース)

九州工業大学と天津工業大学(中国)との交流報告

九州工業大学大学院工学研究院 機械知能工学研究系
教授 神谷亨さんからの報告

【相手機関の概要とこれまでの交流】

 中国天津に位置する天津工業大学は1912年に設立された総合大学であり、主に工学を中心とした教育を行っている。同大学は近年、中国国内で注目を集める研究開発拠点の一つとなっており、2022年には中国教育部が発表した「世界一流大学・一流学科建設総体計画」のリストにも連続して掲載されている。
 九州工業大学と天津工業大学は、平成28年に窓口担当の神谷が天津工業大学を訪問し、本学で博士後期課程を修了して天津工業大学で准教授として活躍中の李光旭先生(本プログラムの引率教員)と共同研究を含めた交流を進めている。これまでに研究室同士の交流が始まって以来、国際会議や論文誌への投稿を含めた共同研究の成果も着実に得ている。また、これまでに2名の博士後期課程の学生を本学に受け入れ、うち1名は2年前に学位修得後、中国の画像処理関連企業で活躍中である(現在1名は在学中)。現在も医用画像を中心に、本学の修士課程と博士後期課程の学生との共同研究を実施中である。

【本年度さくらサイエンスプログラム事業による活動の概要】

1.実施期間
  • オンライン交流:2024年1月19日
    Zoomによるオンライン開催でオリエンテーションを実施した
  • 日本での活動期間:1月22日~1月28日
2.参加人数:引率教員(1名)、大学院生11名

3.実施内容

 1週間のプログラムとしては、本学の特徴的な施設である中村記念館(大学の歴史など展示紹介)、GYMLABO(本学教員・学生らが古い体育館をリモデリングした施設)や、研究施設として宇宙ラボなどを見学した。また、来日の学生のほとんどが画像処理を専門としていることから、学内の画像処理やロボット関連の研究室を見学し、教員や学生らによる先端研究の紹介を含めた研究交流会を実施した。さらに、本プログラム受け入れ担当の神谷研の修士、博士課程学生らとの研究発表会を行い、双方の大学院生による研究紹介や意見交換などの交流を行った。交流会では画像処理手法に関する具体的な質疑も多くなされ、積極的な意見交換が実現できた。さらに、同時期に来日した韓国の著名な教授の講演会(画像解析によるシステム構築法)を企画し、両校の学生や教員による研究の深化を図った。

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本学GYMLABOの見学の様子
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研究交流会:大学院生の発表に真剣に聴講する学生の様子

 一方、研究交流のみならず、社会見学も実施した。北九州市内に本社を持つ企業(TOTO株式会社、安川電機株式会社)や民間の病院施設(共愛会戸畑共立病院)への見学会を実施した。来日した大学院生全員が工学系学生であることから、安川電機の産業用ロボットの組み立てラインの自動化には高い興味や関心を示した。また、TOTOミュージアムでは、ウォシュレットや浴槽などの生活に密接に関係する衛生施設の説明に真剣に聴講した。さらに、病院施設の見学では、医療用のソフトウェアの活用に高い関心を示しており、画像処理を専門とする学生への関心の高さが伺えた。

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安川電機株式会社の見学:ロボットの説明ともぐら叩きの体験様子
活動レポート写真4
TOTOミュージアム見学:衛生設備の説明を聴講する様子
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共愛会戸畑共立病院の見学:CT装置の説明とソフトウェアの説明を聴講する様子
4.成果と今後の課題

 来日した学生の中には、日本文化にも強い関心を持ち、独学で日本語を勉強し、ぜひ日本に留学したい希望を持っている者もおり、日本の良き理解者を養成する本交流会のねらいに大きく貢献した。さらに、5日目の懇談会では、簡単なオードブルとジュースを囲み、40名ほどの学生が参加した交流会を実施し、若者同士の笑い声が飛び交うなど、両校の国際交流にも大きく貢献できた。本プログラムに参加した学生の中には、中国政府の奨学金獲得に向けた準備を進め、留学生として再来日を希望する学生もおり、実現に向けた橋渡しを担いたい。

 一方、時期的に日本の卒業論文や修士論文の追い込みシーズンと重なったため、的確な時期を選定する必要があることや、日本文化の紹介プログラムが組み込めなかったため、今後は日本文化の体験も取り入れるなど、さらに検討して改善を図りたい。

 最後に、このプラグラムに引率として来日した教員より、このような素晴らしい機会を与えていただいた科学技術振興機構並びに九州工業大学の関係各位への感謝が述べられ、帰国後報告会を開催し、「さくらサイエンスプログラム」に参加した学生の感想を他の学生に共有するなど、積極的に広報活動していく予定である旨、連絡があった。

活動レポート写真6
修了証を手に集合写真