2023年度活動レポート(一般公募プログラム)第149号 (Aコース)
日泰学生の協働PBLによるイノベーション力の養成
東京都市大学からの報告
2023年12月1日~7日においてタイ・KMUTNBと東京都市大学のさくらサイエンスプログラムが開催された。
招へい学生はKMUTNBの工学部に属している大学院7名と学部生2名である。KMUTNB工学部の専門分野(機械工学、化学工学、経営工学、材料工学、土木工学、電気工学、情報工学など)は本学の理工学部と情報工学部でカバーできるため、招へい学生は適した(希望する)理工学部と情報工学部の研究室に配属し、その研究室の院生を中心とした本学学生との交流のもとイノベーション力向上を目的とした課題解決に取り組んだ。短期間である課題解決を両大学の学生が協働で取り組むことで思考力、イノベーション力の向上と両大学の学生の国際化(異文化交流)が図られると考えた。
KMUTNBの9名の学生の興味のある専門分野は、「データサイエンス/解析」が4名、「計測と制御」が2名、「電子工学」が2名、「情報と工業技術」が1名であった。そこで、9名の招へい学生は本学の理工学部機械システム工学科・先端制御研究室(「計測と制御」の学生が2名配属)、理工学部電気電子通信工学科・ナノエレクトロニクス研究室(「電子工学」の2名の学生が配属)、情報工学部知能情報工学科・神野研究室(「データサイエンス/解析」の2名の学生が配属)、情報工学部情報科学科・自動制御研究室(「情報と工業技術」の学生1名が配属)そして、情報工学部情報科学科・応用数理研究室(「データサイエンス/解析」の学生2名が配属)において、滞在期間中、各々の研究室で用意されたPBLに取り組んだ。
各々の研究室ではPBLの課題の専門性や形態(プログラミング、実験など)が異なるため、以下のような目標を設定して、PBL活動を展開していただくくことをお願いした。
- 専門的な研究課題に対して、単なる実験結果やシミュレーション結果の提示を目的にすることなく、「原理(理論)の理解・説明」と「結果の検討」を重視した解決を要求する。そのことにより高レベルの専門理解力・検討力の養成を目指す。
- 日泰学生の協働作業を通じ、両大学の学生の国際性、異文化理解、コミュニケーション能力の向上を目指す。
- 実験結果やシミュレーション結果中心ではなく、原理(理論)説明と結果検討を重視した研究発表を要求する研究成果報告会を課し、そのことでプレゼンテーション能力の向上を目指す。
- 招へい学生に本学の研究力、魅力を伝え、博士後期課程への進学、交換留学制度の利用などを図る。
最終日には関連した学生、教員の出席のなか成果発表会が開催された。質疑応答を含め約15分の発表を各々の学生が行った。今回のプログラムでは課題解決に費やせる時間は実質3日間程度であったが、多くの学生が充実した成果発表を行っていた。上記の目標①、③が達成できていることを確認できた。
成果発表会後には修了式が行われ、そして、両大学の学生が参加した懇親会でプログラムを終了した。両大学の学生はとても密な関係を築いていて、プログラムの終了を惜しんでいる光景を目の当たりにした。上記の目標②も達成できていることが分かった。
今回のさくらサイエンスプログラムも参加してくれた両大学の学生の専門を通じた国際化に貢献したことは言うまでもない。参加した招へい学生が何らかのかたちで本学との日本との関わりを将来持ってもらうことで上記の目標④が達成されることになり、達成できることを祈念している。