2023年度活動レポート(一般公募プログラム)第146号 (Bコース)
溶接機構学、エネルギー制御学、グリーン造形学における国際共同研究の実施
大阪大学接合科学研究所からの報告
2023年11月23日~12月13日の21日間、JSTさくらサイエンスプログラムにより海外の学生および研究者5名を当研究所に受け入れました。当研究所は、日本で唯一の溶接・接合技術に特化した研究所であり、その特徴を活かしてこれまでもさくらサイエンスプログラムを活用し、2014年度から計10回、100名以上(オンライン含む)の海外学生・研究者を受け入れました。
今回はマラヤ大学(マレーシア)から2名の学生、インド工科大学ハイデラバードから1名の学生、そしてベトナム科学技術アカデミーから2名の若手研究者を受け入れました。当研究所では、溶接機工学分野・伊藤和博研究室、グリーン造形学分野・阿部浩也研究室、エネルギー制御学分野・田中学研究室の3研究室がそれぞれ受け入れ、研究の指導および共同研究を行いました。
各参加者は事前に、自身の所属機関の指導教官等も交えて受け入れ研究室の指導教員と連絡を取り合い、当研究所滞在中に実施する組織観察や実験に向け、サンプルの準備などを行った上で渡航しました。渡航時に、予定していたフライトに搭乗ができずに到着が遅れ、宿舎へのチェックインの調整が必要になるなど、多少のトラブルがありましたが、皆無事に到着しました。
活動開始初日はオリエンテーションを開催し、滞在中のスケジュール確認や参加者へ学食の紹介、大阪大学吹田キャンパスのいくつかの主要な機能紹介などを行いました。また別の日には全員参加の下、各受け入れ研究室の活動や研究について各教員より15分程度で紹介し、当研究所での研究イメージを掴んで頂きました。また、同日午後には、当研究所技術職員による案内の下、当研究所の設備紹介に参加頂きました。設備は、各受け入れ研究室は勿論、当研究所が誇るFSW機、レーザーアディティブマニュファクチャリングに関する機材、アーク溶接の可視化を可能にする高速カメラ、組織観察関係の機材、および所内で共通利用が可能な共通機材等の見学も行いました。
三週間の滞在中は、参加者の希望や意見を踏まえてそれぞれの研究室で研究スケジュールを作成し、計画に基づいた機材利用予約(実験予約)などを行い、適宜実験や分析などを進めました。研究室によっては、参加者と同様の研究に取り組んでいる本学博士学生とペアで研究を進めてもらうなど、さくらサイエンスプログラムの受け入れを通して本学学生も実践的に海外学生や研究者との連携、交流を深めることができる良い機会となりました。また、参加者の滞在中には配置された各研究室合同で歓迎会を開催するなど、研究以外での交流も深めました。
滞在最終日となった12月12日には、参加者5名より、滞在中に行った研究活動のまとめと得られた成果についての合同最終報告会を開催しました。受け入れ研究室の教員や学生、職員も参加し、三週間の研究成果を聴きました。最終報告会終了後には、同プログラム修了証を授与し、活動終了となりました。参加者からは、今回の滞在により、研究に対する見方が大きく変化したことや、今後、博士課程へ進学して取り組みたい研究課題も見つけることができたなどの嬉しいコメントがありました。
なお、本受け入れ中に実施した共同研究のうち3件については、研究の継続、および今回をきっかけとした新たな研究連携への発展を目的として、派遣元の指導教官と相談し、当研究所が実施している海外共同研究員制度への申請が決まり、同プログラム終了時に登録申請を行っていただきました。今後、さくらサイエンスによる招へいから具体的な国際共同研究の成果発信が期待されます。