2023年度活動レポート(一般公募プログラム)第144号 (Aコース)
日本発!微生物科学の新展開
奈良先端科学技術大学院大学からの報告
奈良先端科学技術大学院大学では、2023年12月10日から16日までの1週間、さくらサイエンスプログラムの支援により、ベトナム科学技術アカデミーに属するUniversity of Science and Technology of HanoiからNguyen Quang Huy講師と学部学生4名を招へいし、科学技術体験プログラムを実施いたしました。奈良先端科学技術大学院大学を含む日本の大学での教育システムや研究環境を、ベトナムの大学の学生にさらに深く理解していただき、日本での大学院進学にも繋がるよう、プログラムを企画しました。
【12月10日】
関西空港に到着後、奈良市内に移動しました。そして、奈良県外国人観光客交流館にて、今回のプログラムのオリエンテーション、本学の概要紹介、および、折り紙など日本文化の体験を行いました。
【12月11日】
午前には、酵母を用いた遺伝子操作についての講義を本学の木俣行雄准教授が行い、また、University of Science and Technology of Hanoiの概要についてNguyen講師により紹介していただきました。午後には、バイオサイエンス領域の実験室にて、酵母への外来遺伝子導入の実習を行いました。ベトナム人学生に実際に手を動かしてもらい、簡単ではありますが、研究の一端を実感していただけたようです。
【12月12日】
午前には、本学にて現在も国際交流に尽力されている真木壽治特任教授を交えた意見交換会を行い、University of Science and Technology of Hanoiとの間の教育や研究についての相互交流などが議題となりました。多くのベトナム人学生が日本への留学に興味を持っていることが分かり、その実現のための課題などが話し合われました。午後は、実習の続きとして、細胞内で働く酵素に蛍光タンパク質を繋げることで細胞内局在を観察できるようになった酵母を蛍光顕微鏡で観察しました。この技術を用いることで、各オルガネラを簡便に視認することができ、教科書で学んだことを容易に確認できました。
【12月13日】
午前は、本学の渡辺大輔准教授が、微生物の応用利用に関する講義を行いました。質疑応答も活発で、この分野への関心の深さが感じられました。午後は、日本が誇る微生物バイオテクノロジーである日本酒造りの見学のため、奈良県葛城市にある梅乃宿酒造を訪れ、酒蔵での日本酒製造を見せていただきました。最新設備にて日本酒米が蒸されていく様子に、学生たちは驚嘆の声を挙げていました。
【12月14日】
午前は、本学にて英語で行われている授業に参加してもらいました。翌日の実習で行うPCRについての発表があり、学生同士の議論も活発で、実際の授業の雰囲気を体験していただけたと思います。午後は、実習の続きとして、フローサイトメーターを用いた酵母細胞の性状分析を行いました。原理の理解や結果の考察など、多くの討論を重ね、有意義なものとなりました。
【12月15日】
11日に行った実習の結果を確認しました。外来遺伝子が導入された酵母細胞から遺伝子を抽出し、リアルタイムPCRを用いて目的の遺伝子が導入されているかの確認です。また、本プログラムで行った講義、実習および見学を踏まえた総合討論を行い、修了証を授与して終了しました。
【12月16日】
本学内の宿泊施設から関西空港へ移動し、学生たちは無事にベトナムに帰国されました。
「1週間という短い期間であったため予定が詰まっていて忙しかったけれども、とても充実した滞在ができた」という言葉を招へい者たちからいただけ、本プログラムを行なった意義を感じられました。また、受入れ機関となった奈良先端科学技術大学院大学の私達も、ベトナム人学生たちからたくさんの良い刺激を受けることができました。本プログラムを通じて、日本に留学し学ぶ学生が増えてくれることを望みます。この度はこのような貴重な機会を与えてくださったさくらサイエンスプログラム、および、ご協力いただいた全ての方に感謝いたします。