2023年度活動レポート(一般公募プログラム)第143号 (Aコース)
先端医療機器を応用した出張型歯科診療体験
鹿児島大学からの報告
プリンスオブソンクラー大学(PSU)との学生レベルでの交流は、協定締結時から始まったCOVID−19の感染拡大により、これまで満足にできていませんでした。さらに大学のある地域はイスラム武装勢力の台頭によって外務省の危険情報レベル2に指定され、鹿児島大学の学生を渡航させることはできない状態です。そのような状況下において、タイ王国では歯科医師が不足する中で、歯科医師は都市部に集中し、離島や農村部では歯科医院に通院することが困難な地域が多くある状況などを知り、PSUの教員と協議を行った結果、鹿児島大学の特徴である離島診療など出張型歯科診療を学ぶ機会を作りました。
本プログラムはタイ王国のPSUの学生2名を招へいして行われました。まず、来日前に鹿児島大学の教員、学生、他の外国からの研修、留学生を含めたオンラインプログラムでメンバー同士が自己紹介したり、鹿児島情報に触れたりして本学の歯学部学生と交流を行いました。来日は2023年11月26日から12月3日の日程で鹿児島大学桜ケ丘キャンパスの他に徳之島と鹿児島県歯科医師会を訪問しました。歯科医師会館では、先端医療機器を応用した出張型歯科診療体験をしました。
【11月26日午後】
鹿児島空港に無事到着し、初めての日本やバスシステムや路面電車システムなどを学び、さっそくオンライン交流で知り合っている鹿児島大学の歯学部学生と夕食を囲みながら交流を行いました。
【11月27日】
教員からオンラインで遠隔補助を受けながら、ホテルの最寄りのバス停よりバスに乗り、バスの運転手さんや乗客の助けを借りながら、歯学部のキャンパスまでたどり着きました。偶然にも遠隔補助を受ける体験や地元の人々と触れ合う機会ができたと喜んでいました。開講式では、歯学部長、教育委員長、海外研修実施部会長ならびに実施部会員によるオリエンテーション(鹿児島大学の紹介、プログラムスケジュールの説明など)を行った後は、大学内での生活に困らないようにコンビニエンスストアや図書館、食堂などのツアーを行いました。
午後は、本院の歯科外来の見学を行った後、遠隔地、多文化地域、国際貢献のあり方などをテーマにした「国際医療人育成学Ⅰ」の講義に参加し、招へい学生たちは本学学生とグロ-バルな歯科医療問題や国際貢献などについてディスカッションを行い、考えたこともなかった問題に対して積極的に意見を出し、真剣に取り組んでいました。
【11月28日】
鹿児島市から南へ約470km南にある徳之島へ移動し、遠隔地離島での訪問歯科診療など限られた条件下での移動式の歯科機材を用い行われる臨床現場を実際に見学しました。現地の医療スタッフから、離島ならではの歯科事情や訪問診療の要領などに関して説明を受けました。
【11月29日】
民俗資料館などを見学し、歴史・伝統・文化を学び、午後に徳之島から鹿児島へ移動しました。
【11月30日】
鹿児島県歯科医師会館で日本の先端技術を応用したユニットが装備されている歯科診療巡回車を見学しました。
午後には、本学歯学部で受診を促すための行動科学の研究や理論を学びました。PSUでは受けることができない講義に触れることができたと、時間を忘れ議論を交わしていました。
【12月1日】
午前中を使い、招へい学生は本学教員たちと本プログラムの全行程についてディスカッションを行いながら成果発表会用のスライドを作り、修了式では感想も含めて成果発表を行いました。その後、歯学部長より修了証とバッジを贈呈されました。成果発表については、ビデオ化してオンライン交流サイトへの投稿を行っています。
【12月2日】
午前中は本学学生と共に最後の鹿児島の生活を名残惜しそうに過ごしていました。午後は帰国のために福岡に移動し、翌日に帰国の途に就きました。
本プログラムの実施にあたり、ご支援ならびにご協力いただきました関係者の皆様に感謝いたします。