2023年度 活動レポート 第137号:千葉大学

2023年度活動レポート(一般公募プログラム)第137号 (Aコース)

無線電力伝送技術と人工知能に関する、日韓科学技術体験交流

千葉大学 大学院工学研究院
教授 安昌俊さんからの報告

 2023年12月17日の午後に韓国の釜慶大学校(釜山)と聖公会大学(ソウル)から学生8名と引率者2名が日本に到着し、本プログラムの活動が本格的に始まった。空港へのお迎えは千葉大学の学部4年生2名により行い、訪問した韓国の学生と引率者を千葉のホテルに案内した。

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千葉大学に到着した際の集合写真

 2日目は、9時30分頃に千葉大学に到着後、無線通信研究室の紹介を行い、本プログラムに参加した学生を対象にオリエンテーションを行った。オリエンテーションでは、日本の生活習慣、カルチャー、簡単な日本語、および、病気・怪我やトラブルの際の対処方法についての説明を行った。また、昨年度のプログラム実施時にも評判が良かった簡単な日本語授業と日本のマナーを学べる時間を設け、今回参加した学生も日本語の授業に興味を示した。今後の交流には、日本語に触れていない学生を中心に、科学技術のみならず、日本語や日本文化の紹介も大切であると感じた。オリエンテーション終了後、午後には座学として、無線電力伝送技術に関する講義を行った。講義後18時頃には、無線通信研究室の学生との交流会を行い、国籍が異なっても互いに理解できることを感じる時間となった。

 3日目は、午前中には2日目に行った無線電力伝送に関する内容を中心にアンテナの設計と簡単な試作を行った。また、無線信号を用いた電力を伝送し、受信側ではその受信信号から発電するエネルギー伝送技術について実験も行った。実験を行う間に様々な質問があり、非常に関心を集めることになった。午後は、最新の無線通信技術について、東京理科大学の丸田准教授と山口大学の井田准教授による講義をオンラインで行った。特にMIMOという課題について、2名の先生方から異なる観点から説明することで、学生の関心を引き出し、「理解を高めるために非常に良かった」と高く評価された。

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無線電力伝送の実験模様
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無線通信関連オンライン講義

 4日目は、千葉大学の特任教授でIEEE802.15.7(OCC/OWC)分科国際標準化会議の寄稿者、兼エディターを担当している車教授の可視光通信に関する対面講義と、東京大学の小島助教のAIに関するオンライン講義を聞き、質疑応答を行った。また、火山大国日本の特徴ある取り組みの一つである地熱発電所の見学を行うため、東京駅に移動し、発電所がある会津若松に移動した。移動する際に会津若松地方には大雪警報が出されたが移動には特に問題がなかった。

 5日目は、福島県に位置する日本最大級の柳津西山地熱発電所の見学を行うことになったが、大雪でバスなどが運行できない状態であった。しかし、ホテルや地元関係者の協力で、無事に地熱発電所の見学を行うことができた。地熱発電所は世界的にも大変珍しく、日本が低炭素化や世界的な温暖化を防ぐSDGs技術として進めるユニークな技術でもあるため、学生の関心も高かった。午後には、近くの水力発電所と会津若松の名物、鶴ヶ城の見学も行った。

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地熱発電所の見学にて
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地熱発電所の見学写真

 6日目は、上野にある国立科学博物館を訪問し、日本の優れた科学技術を体験する機会となった。見学後、ホテルに戻り、参加した学生と簡単な面談を行った。多くの学生から、「来日する前は日本への渡航に対し多少の不安感を抱いていたが実際に本プログラムに参加したことにより非常に良かった」との意見を頂いた。また、機会があれば日本を再訪問したいとの意見があり、本プログラムの当初の目的を達成することができた。

 最後に、この交流プログラムを実現できるよう支援していただいたJSTに感謝申し上げたい。