2023年度 活動レポート 第136号:九州工業大学

2023年度活動レポート(一般公募プログラム)第136号 (Aコース)

カナダおよびエジプトからの学生と若手教員を招いた交流プログラム

九州工業大学からの報告

 2023年11月8日から11月14日の一週間、これまで本学と国際交流協定を結んでいる、カナダ・オンタリオ工科大から教員2名、学生6名、エジプト・マンソウラ大から教員1名を招へいして、「化学に関する共同研究への発展につながる日本とカナダ・エジプトの若手研究者交流」をテーマにプログラムを実施した。

<入国>

 初日・2023年11月8日に、カナダ、エジプトから招へい者がそれぞれ福岡空港、関西国際空港に到着。その後、北九州に移動して小倉のホテルで宿泊した。

<大学紹介>

 2日目の朝、ホテルに迎えに行き、九州工大に電車で移動。大学に到着してまず、近代化産業遺産である正門(旧明治専門学校表門)の前で、集合写真を撮影した。その後、大学の歴史や大学の施設・展示場(明専アーカイブ)の説明を行い、九工大の背景を知ってもらった。本学では、職員は職務横断型の業務を行っており、この大学紹介は、本務が国際系ではない方々も含めた事務系の方が行った。

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九州工業大学正門(近代化産業遺産)前にて

<化学に関する国際シンポジウム>

 2日目の午後と3日目に化学に関する国際シンポジウムを開催した。本国際シンポジウムは「The International University Exchange Symposium on Chemistry 2023 jointly organized by 6th Kyutech−OTU Symposium on Chemistry 2023」と題し、本さくらサイエンスプログラムでの招へい者8名、他のプログラムによるタイからの招へい者10名、また、本学からは教員3名、学生13名が口頭発表した。また、ビザの関係で、直前に訪問が叶わなかったカナダの学生1名がオンラインで発表を行った。会は、芹川工学研究院長と山村応用化学科長の開会の辞を皮切りに、化学のさまざまな分野(有機化学、物理化学、無機化学、化学工学、天然物化学、材料化学、法医学)について発表があった。参加人数は80名を超え、異分野の教員・学生が参加し多面的な議論が深まり、盛会に終わった。

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The International University Exchange Symposium on Chemistry 2023での集合写真

<共同学習・授業>

 本プログラムは、各国の若い研究者同士がつながることを目論んでおり、題目や課題を決め、おもちゃのブロックを用いた共同作業を行った。インストラクターは、このようなブロックを使った共同作業に精通している、本学・基礎科学研究系の中尾教授である。このプログラムでは、言語化しにくいことを可視化して意見を交わすことができることが特徴で、言語(英語)では表面的な事しか伝えられないことを、ブロックを使うことで、意思の疎通がより深まっていることが感じられた。

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ブロックを使った共同学習(本学学生と招へい者が4人一組がチーム)

<研究室見学、授業>

 光触媒の研究室(横野教授)と化学工学(山村教授、馬渡助教)の研究室を見学し、教員から詳細な説明を受けた。招へい者は化学を土台とする教員・学生であるが専門が異なり、また、自分の大学にはない研究室の見学となり、興味を持って参加していた。横野教授には、環境やエネルギーにつながる光触媒についての授業も行ってもらった。光触媒の基礎から、講師が開発した世界最高水準の実用化された光触媒の話題まで説明が行われた。実用化のインパクトは大きく、授業のあとも議論が続き、今後の境界領域での研究交流が期待された。

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研究室見学(光触媒の研究、横野教授)

<北九州エコタウン見学>

 北九州市は環境やクリーンエネルギーに力をいれており、リサイクルや循環型社会が学べるエコタウンや次世代エネルギーパークの施設見学ができ、それらの見学をした。まず、エコタウンセンターで事業の概要や歴史を学んだ後、実際の施設を見学した。今回見学した施設の一つは家電製品のリサイクル施設であり、多種多様な材質や部品でできた家電製品を、いかに安全に、効率よくリサイクルしているかを学んだ。本企業では、鉄、非鉄金属、プラスチックを適切に分離しており、その仕組みは原理的にはわかっていても、実機やデモ機を実際に見て、その巧みさに皆驚いた。

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北九州エコタウンにて

<日本の文化・自然体験>

 シンポジウム初日の後に、日本の文化を触れてもらうため、生け花体験を行った。指導は、本学の教員と技術職員が行い、本学の学生や職員と招へい者が3人一組になり一つの生け花を作った。終始穏やかでにこやかな時間となり、シンポジウムの少し張り詰めた感じとは違うものであった。作成した生け花は、2日目のシンポジウム会場に並べられ会に華を添えていた。また、4日目は北九州から足を伸ばし、別府に行き、水族館や高崎山(野生の猿がいる)、日本一の温泉に触れ、日本の生き物や自然を楽しんだ。

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日本の文化体験(生け花)

 報告会と修了証の授与:ほぼプログラムが終わった6日目の夕刻、招へい者の振り返り報告会を1人5分程度で行ってもらったが、ブレインのサーキュレーションなど本プログラムの趣旨を十分に理解してくれており、今後の交流の継続を強く望まれていた。発表の後、修了証とバッジを授与し、大学におけるすべてのプログラムを修了した。翌日、招へい者はそれぞれの国に、福岡空港より帰国した。

 謝辞:本プログラムの実施には、本レポートで示すように多くの方の助けを借りて行うことができました。特に、本学の岡内准教授、事務担当の樋口様には多大なサポートを頂きました。ありがとうございます。最後に、このような有意義な国際交流の機会を与えてくださったJSTさくらサイエンスプログラムに心より感謝申し上げます。