2023年度 活動レポート 第135号:大阪大学

2023年度活動レポート(一般公募プログラム)第135号 (Aコース)

Double Degree連動型基礎工学Frontier−Nanoプログラム
~SDGsを志向する最先端研究の短期集中型 STEAM実習~

大阪大学からの報告

 2015年に国連サミットで「持続可能な開発目標(SDGs)」が採択されて以来、先進国・アジア諸国を含め、「新たな視点・発想力・行動力」を駆使して諸課題に挑める人材育成が急務となって おり、 世界経済を牽引するまでに成長したアジア地域において、より質の高い持続的発展を志向する未来人材育成のためのSolidな拠点を形成する必要があることは自明である。そのために、最先端研究に主体的に関与させることで、基礎工学(Engineering Science:ES)系教育の根幹をなす STEAM素養を涵養しつつ、高いモチベーションを推進力として「自ら考え、行動し、開拓できる人材」として成長させ、未来人材ネットワークの拡大に繋げる必要がある 。

活動レポート写真1
来日直後の集合写真 (大阪大学正門前にて)

1.ASEAN高度人材の循環を志向した大阪大学基礎工学研究科の取り組み

 近年、大阪大学基礎工学研究科では、ASEAN諸国のTop大学との間において、(a)部局間協定、(b)Double Degree Program(DDP)、(c)その他の個別交流を通じて、研究教育に関する組織的な連携体(ΣASEAN Network)を構築し、質的・量的に拡大しつつある(マレーシア:マラヤ大学ほか、タイ:マヒドン大ほか、インドネシア:インドネシア大、ガジャマダ大、ベトナム:ベトナム国家大、 VASTほか)。

 大きな目的は、ASEAN人材の高度化ならびに頭脳循環にある。ASEAN地域の優秀な留学生((A)学部・修士学生および(B)博士未修得の若手教員)を獲得し、最先端研究への挑戦を通じて、将来の科学技術イノベーションを創成するための高度な能力を修得させるための方針を取っており、これまでも多くの ASEAN人材を輩出してきた。

2.DDP連動型基礎工学Frontier−Nanoプログラム

(1)目的

 今回の招へいプログラムでは、(ⅰ)超短期間で上記の目的を凝縮したプログラム(ハンマーセッション)により、Engineering Scienceという新たな学問領域の重要性を認識させるとともに、(ⅱ)ターゲット校 マラヤ大学・マヒドン大学と既に締結している Double Degreeプログラム、あるいは既存の大学院英語プログラムへのASEAN人材の参画を推進することを目的としている。短期的には、前掲プログラム(DDプログラムと英語プログラム)に参画した留学生を通じて、両国との国際共同研究が推進され、長期的には、高度化した博士人材が帰国後にリーダーとなり、マレーシア・タイを中心とした、ASEAN地域のニーズに即した新たな科学技術イノベーションに貢献できると期待される 。

(2)プログラム概要

 (A)マラヤ大(マレーシア)および(B)マヒドン大(タイ)とは ASEAN地域コア拠点校であり、部局間交流協定ならびに Double Degreeプログラムを締結している。国内唯一の基礎工学部・研究科で受入れ、少人数で質の高いSTEAM実習体制を構築した。

活動レポート写真2

(3)プログラム実施後のOutput/Outcomes

 参加学生は、
 (3-1)「Engineering Science」分野に関する基礎的素養(STEAM)を身につける。
 (3-2)ES−FrontierLab−"Nano"でSDGsに関連付けた最先端研究を実習・体験に関連付けた最先端研究を実習・体験できる。
 (3-3)日本人学生(ES−Buddy)たちと交流できる。
 (3-4)帰国後も、STEAM実習コンソーシアムに参加・関与する。
 (3-5)当該プログラムをきっかけに、基礎工学研究科英語特別プログラム(博士前期/後期)ならびにDouble Degreeプログラム に参加(入学)する(マラヤ大学(4名中、DDP入学希望4名(うち1名は英語特別プログラム))、マヒドン大学(5名中、1名は英語特別プログラム、3名が DDP入学希望、1名がミスマッチのため辞退)(全て予定))。

 通常の短期訪問プログラムに、Double Degree Programにおける指導教員とのマッチングを連動させた新たなプログラムの可能性を追求した。共通の交流行事を確保しつつも、個別にデザインしたプログラムとすることにより、短期間で指導教員と深くディスカッションすることが可能となり、Output(大阪大学の大学院進学(特プロ/DDP))に繋がった。中長期的な視野に立ち、同様のプログラムを企画することで、両国を繋ぐ博士高度人材(Engineering Scientist)の育成に有効である事を示した。

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