2023年度活動レポート(一般公募プログラム)第134号 (Cコース)
インドネシアの医学生らが環境汚染の疫学調査法、汚染物質の測定法および生体影響評価法を学ぶ
宮崎大学医学部 社会医学講座公衆衛生学分野
教授 黒田嘉紀さんからの報告
宮崎大学医学部公衆衛生学教室では、令和5年11月13日から22日の10日間に渡り、インドネシアのブラウィジャヤ大学医学部から教員1名、大学院生5名を招へいし、「環境汚染の疫学調査法、汚染物質の測定法および生体影響評価法の習得」と題した科学技術研修コースを実施した。
本プログラムでは、1)汚染物質の測定および生体影響評価に関する動物実験、2)環境汚染の疫学調査法習得(ゴミ処理施設及び衛生環境研究所見学)および3)日本文化交流として、日本神話のゆかりの地訪問(神話の世界を体験する-高千穂訪問:神楽見学)を計画した。
公衆衛生学教室では、汚染物質の測定および生体影響評価に関する動物実験を経験してもらった。招へい者は動物実験の経験がなく、基本的な実験方法を演習したことは有意義であったとの感想が聞かれた。実験ではマウスを使用し、動物の解剖およびリンパ球の採取、およびT細胞、B細胞の分離、免疫学的評価を実際に行った。
環境汚染の疫学調査法習得を目的に宮崎県衛生環境研究所を見学した。生活環境管理には、環境測定が重要である。日本では定期的に空気、河川等の化学物質汚染をモニタリングしている。この実態を理解するために宮崎県衛生環境研究所の見学を行い、安全な環境を維持するために、環境アセスメントが重要であることを理解してもらった。宮崎県における環境測定の現状と測定方法について学習し、母国と比較して、日本の住環境が適切に守られていることに感心していた。将来的には母国にも同様の制度、施設を整えることが必要であるとの感想が聞かれた。
環境アセスメントだけでは、適切な住環境を維持することはできない。適切なゴミ処理は環境汚染予防には非常に重要である。インドネシアでは急激な経済発展および人口増加に伴う廃棄物による環境汚染問題が深刻であり、適切なゴミ処理は喫緊の課題である。日本では適切なゴミ処理が行われていることから、宮崎市のゴミ処理施設見学を実施した。日本の進んだゴミ処理方法の学習は非常に貴重な経験であり、母国のゴミ処理の参考になるとの意見があった。
日本文化の理解のために神話の地である宮崎県高千穂町を訪れ、日本神話のゆかりの地を散策した。神話にまつわる名所を訪れ、古くから伝わる神楽を鑑賞した。
プログラム終了後には、日本に留学し、学ぶことを本気で考えたいという感想も聞かれ、今後の交流が期待される結果であった。また次年度もさくらサイエンスプログラムを行ってほしいとの要望が参加者全員から聞かれた。