2023年度活動レポート(一般公募プログラム)第132号 (Aコース)
電気加工技術に関する国際共同研究の実現に向けた取り組み
東京農工大学大学院工学府からの報告
2023年11月12日から18日の7日間、ベルギーのルーヴァンカトリック大学(KU Leuven)のポスドク3名、博士課程学生6名と引率教員1名が、JSTさくらサイエンスプログラムに採択された「電気加工技術に関する国際共同研究の実現に向けた取り組み」の招へいプログラムに参加した。本プログラムは、KU Leuvenから選抜されたベルギー学生や、インド、トルコ、中国からの留学生を日本に招へいし、日本人学生と交流を行い、SIPや科研費の成果である先進電気加工技術を体験することにより、日本の電気加工に関するレベルの高さの体験、日本とKU Leuvenの若者同士の学術と文化交流の促進、近い将来のKU Leuvenの学生の再来日や本学または他大学への進学の意欲向上を実現することを目的とする。
KU Leuvenは、1425年に創立された世界でも最も古い大学の一つで、約40,000人の学生と9つのキャンパスを有している。様々な分野において高い評価を受けており、2022年版のQS世界大学ランキングでは、世界全体で45位にランクインし、高い評価を受けている。特に医学、理工学、人文科学、社会科学の分野で世界的に有名である。また、世界中の研究者との共同研究や留学生との交流など、国際的な視野を持った大学としても知られている。
7日間という短い時間の中、両大学の学生間の活発な交流や研究紹介、施設見学が行われた。初日は、プログラムの目的や日程、生活上の注意事項、見学や実験時の安全事項、コロナ感染対策を含め、オリエンテーションを行った。二日目以降は、「次世代型高性能電解加工機の研究開発」や「気泡フラッシング効果を考慮に入れた制御系の構築による微細深穴の放電加工速度向上」などの研究プロジェクトの概要および研究内容、成果の紹介、質疑・応答を行った。
また、日本のものづくり企業を代表する株式会社牧野フライス製作所を見学し、電解加工・放電加工について牧野フライス製作所の技術者・研究者との交流を行い、日本の産官学連携の実態を体験した。
さらに、両研究グループの研究内容および成果の交流のため、両大学の若手研究者による研究発表会が開催され、積極的な質疑応答と活発なディスカッションが行われた。特に、生産加工に関する研究について、本学からは「電解液吸引工具や吸水性材料を利用した液域限定電解加工法のメカニズムと特徴」、「通気性金型の製造における電解加工技術の応用」、「微細深案の放電加工における気泡や加工屑の挙動」などの研究内容が紹介され、KU Leuvenからは「レーザによる微細パターンの形成」、「レーザと電解加工の複合加工」、「生産加工におけるデジタルツインの応用」などの研究内容および動向が説明された。また、今後の共同研究の可能性について意見交換が行われた。なお、参加者は、本学の生産加工関連の研究室およびものづくり創造工学センターを見学し、最新の研究成果および最新動向を学んだ。
滞在期間中、プログラム参加者は、日本科学未来館と東京港を見学し、科学技術の実際と日本の歴史と文化を体験した。参加者は、本プログラムの参加で、研究だけではなく、日本人学生との交流や日本文化の体験により、日本社会に対する理解および親近感が一層強くなったとの感想を述べた。
最後に、貴重な機会を与えていただいた「さくらサイエンスプログラム」に厚くお礼を申し上げる。