2023年度活動レポート(一般公募プログラム)第129号 (Aコース)
Talent−Spot 2023 Supported by Sakura Science Program
京都大学化学研究所からの報告
京都大学化学研究所では、JSTさくらサイエンスプログラムの支援のもと、2023年11月27日から12月1日にかけて、「Talent−Spot 2023 Supported by Sakura Science Program」を開催しました。スリランカのトップ大学であるコロンボ大学の化学科(Department of Chemistry, University of Colombo)から、研究志向かつ高いGPAの学生から構成されるBachelor of Science Honorsコースに絞ってプログラム参加希望者を募り、学内での書類選考と面接を経て選抜されたコロンボ大学を代表する優秀な7名の大学生・大学院生と1名の教員を招へいしました。
【11月27日】
関西国際空港到着後、京都大学宇治キャンパスにてオリエンテーションを実施しました。研究体験に必要な安全ガイダンスだけでなく、京都大学宇治キャンパスや京都、日本について紹介し、さらに京都大学の大学院に進学する場合の要件やスケジュール、奨学金支援を得るための手段等についても紹介しました。
昼食時には、化学研究所が所有する資料館「碧水舎」にて顔合わせ意見交換会を開催し、受入研究室から各1名の教員が参加しました。食事をとりながらリラックスした雰囲気の中で、分野や世代を超えた交流ができました。昼食会の後、招へい学生たちは1名ずつ、自身が希望する有機材料、薬理学、無機材料化学などの研究室に配属されました。
【11月28日~30日】
招へい学生たちは、配属された研究室にて最先端機器を使った測定・解析や最先端の実験研究の一端を実際に体験しました。また受入研究室に在籍する若手教員と大学院生が招へい学生のサポート役となり、研究面だけではなく日常面でも密接に関わることで相互理解を深め、お互いに有意義な経験になりました。
【12月1日】
プログラム最終日には、招へい学生たちが研究室で体験した研究成果を発表する最終成果報告を実施しました。受入研究室から各1名の教員が参加し、学生たちは緊張しながらも、それぞれのテーマについて、英語でプレゼンテーションを行いました。発表者には毎回、京都大学の教員から質問が投げかけられ、活発な議論となりました。
報告会終了後、本学アドミッション支援室から京都大学の紹介「Study in Kyoto University」が行われ、招へい学生たちからの質問を受け付けました。疑問や不安に思っていることを積極的に質問する彼らの真剣な眼差しが印象的でした。
最後に、報告会に参加した教員の評価によって3名が表彰されました。その後、全員に修了証が授与されました。
本プログラムの実施は、招へい学生の皆さんが化学研究所の最先端化学研究技術を見学・体験できただけでなく、今後の両大学間の国際交流事業におけるさらなる発展を促進させるきっかけとなったことでしょう。スリランカのトップ層学生は、大学院進学に際して北米または英国を目指すのが一般的なことから、京都大学や日本の魅力を母国で宣伝してもらい、スリランカのトップ層学生の目を京都大学や日本に向けてもらう契機になると期待しています。
招へい学生に感想や意見を求めたところ、全員から「非常に有意義な機会であった」「素晴らしい研究環境に感銘を受けた」とのコメントが得られました。また建設的な意見として、計1週間程度の滞在では実際の「研究」を体験するには少し短かったので、もう少し長期間体験したかったとの意見が多数寄せられました。今回の経験を踏まえ、少し滞在期間が長いプログラムへの展開を次に目指すことで、よりお互いに有益な活動になると考えています。また今回の招へいプログラムは、招へい学生だけでなく本学学生にとっても貴重な経験になりました。比較的国際色豊かな京都大学においても接する機会が少ないスリランカの学生と交流することで、新たな価値観に接するだけでなく、トップ層学生は国籍を問わず優秀なことも実感し、良い刺激を受けた様子が見られました。
ご支援くださったJSTさくらサイエンスプログラムおよび関係者の皆様に深く感謝いたします。