2023年度活動レポート(一般公募プログラム)第127号 (Aコース)
インドネシア、フィリピンの高校生との科学技術交流
公益財団法人ひろしま国際センターからの報告
公益財団法人ひろしま国際センターでは、さくらサイエンスプログラムの支援のもと、広島県立安芸府中高校と提携し、地球環境問題に対処するための科学知識と国際感覚を有する人材の育成のため、インドネシアとフィリピンから高校生8名と引率者2名の計10名を招へいし、7日間のプログラムを実施した。
プログラム内容は、最新の廃棄物処理施設の見学、海洋科学、天文学、農学、水産学および植物学などの多岐にわたる科学分野を「体験」することに重きを置いた。また、広島平和記念公園・資料館訪問を通して、核兵器が建物や人体に及ぼす影響を学び、科学技術を世界中の人々の幸福のために使うことの大切さについても再認識するよう促した。
これらに加え、広島大学のキャンパス・ツアー、留学生との交流会、広島県立安芸府中高校の高校生との3日間にわたる交流により、留学の促進や、姉妹校である3か国の高校間の交流の発展も目指した。
【12月3日】
福岡空港に到着後、広島に移動。夕食は、日本食レストランで和食を体験。
【12月4日】
広島大学総合博物館を訪問し、学芸員の解説を受けながら、展示物(恐竜の化石や動物のはく製)を実際に見て触れた。広島県立総合技術研究所農業技術センター果樹研究部では、研究成果を講義で学んだ後、試験圃場で研究員から果樹の説明を受け、石地みかんの収穫体験などを行った。また、日本文化理解の一環で、浴衣の着付け体験やお好み焼きの手焼き体験を実施した。
【12月5日】
広島中央エコパークでは、最新のごみ焼却施設の見学を行った。広島大学総合科学部国際共創学科では、講義やキャンパス・ツアーで大学を紹介していただくとともに、在籍する、主にアジア圏の留学生に、留学理由や日本での大学生活・進路・学業などをざっくばらんに話していただき、日本への留学を考えるきっかけを提供できた。また、昨年度、フィリピンから本プログラムに参加し、今年、広島大学総合科学部国際共創学科に入学した学生とも交流し、日本への留学をより身近なものに捉えることができた。続く、広島大学宇宙科学センターでは、4次元デジタル宇宙を体験後、雨天につき天体観測から予定を変更して、大学が国内に所有する望遠鏡としては4番目に大きい『かなた望遠鏡』を見学した。
【12月6日】
府中北小学校および安芸府中高校を訪問し、各校で歓迎イベントに参加した。安芸府中高校では、歓迎行事後、SDGsに関するディスカッション、美術・書道などの授業体験や掃除体験などを行った。
【12月7日】
広島大学附属水産実験所では、講義の後、防波堤でプランクトンの採取と顕微鏡での観察を体験した。また、ワタリガニの解剖演習を行い、甲殻類の構造を理解した。
広島平和記念公園では、来日前に折った千羽鶴を「原爆の子の像」に捧げた。また、安芸府中高校の高校生による佐々木さだ子さんの一生を描いた紙芝居の読み聞かせや資料館・公園の案内を通じて、戦争や原子爆弾の悲惨さについて学び、平和な世界の実現に向けて気持ちを新たにした。
【12月8日】
宮島の要害山では、広島大学教授の解説と留学生の協力により、宮島特有の植物を観察した。その後、安芸府中高校の高校生とグループ行動で、宮島の表参道商店街などを一緒に散策し、交流した。
終わりに、ひろしま国際プラザのレストランにて修了証書の授与を行い、本プログラムの全課程を修了したことを祝った。
【12月9日】
福岡空港まで見送り、プログラムを無事終了した。本プログラムは、日本の科学技術の体験や留学促進のみならず、交流を通じて、3か国の今後の交流継続にも繋げることができ、有意義なものになった。本プログラムを実施するに当たり、ご支援下さいました受け入れ機関の皆様並びにJSTさくらサイエンスプログラム関係者の皆様に、心よりお礼申し上げます。